2023年の掉尾を飾る「KEIRINグランプリ2023シリーズ」が12月28日~30日の3日間、東京都・立川競輪場で開催される。30日の「KEIRINグランプリ2023」に5年連続で出場する松浦悠士(33=広島)に、今年を振り返るとともに「アレ」への思いを聞いた。

 輪界指折りのオールラウンダーが5度目の挑戦で悲願のグランプリ制覇に挑む。今年GⅠ優勝はなかったが、3月別府ウィナーズカップ、7月函館サマーナイトフェスティバルの両GⅡでV。1億1000万円超を稼いで賞金ランキング5位で出場切符を手にした。

 GPロードを終えて松浦は「GⅠでしっかり戦えていない。(11月小倉)競輪祭は確定板(決勝3着)に載れたが良い戦いをしたかった。優勝回数も少なかった(3回)し自分の中では寂しい感じ。納得のできない一年だった」と振り返った。

 ケガに泣かされる不運もあった。8月西武園GⅠオールスターの落車で左肩甲骨、左鎖骨を骨折し戦線から離脱。骨折は何度かあったが、ここまでひどいケガは初めてで「治すまでにどれぐらい時間がかかるのかと思ったが、感覚を頼りにやって、いい感じに戻せた。ひとつの経験として得るものがあった」。10月熊本記念(久留米代替)で復帰してからは走るごとに気配を上向かせ、終盤戦に間に合わせた。12月別府記念決勝の落車も幸いなことに軽傷。フレームも無事だった。

 中四国地区は若手の成長がめざましく、攻め幅が広がった。GⅠ3優出と躍進した犬伏湧也と何度もラインを形成。競輪祭の準決、決勝ではナショナルチームと〝二刀流〟の太田海也とハーモニーを奏でた。「強い選手が出てきて連係できる機会は自分の力にもなるし、ラインとして厚みが出る。モノ言う立場であれば自分もそれなりの競走をしないといけない。ヘタな競走はできないと常々意識している」。若手を叱咤激励し、他地区に見劣りしない戦う集団をつくり上げた。

 本番が刻一刻と迫り、気持ちも高ぶってきた。今年は清水裕友との〝黄金タッグ〟も復活。気になる前後は「(19日の)前夜祭までに決まるんですかね? 分からない。全然、話もしていない」とのことだが、「2人で合わせて10回目。そろそろ取らないと確率的にもおかしいことになる(笑い)。どっちかが取れるようなレースができればいい」。

 単騎戦だった昨年の平塚大会は北日本カルテットをかく乱する奇襲に出た。「自分のイメージ通りにことが運んで最終ホームまではやったかもと思ったが、一瞬のスキというか油断ではないが、このスピードでは追い上げに来ないだろうという思い込みが良くなかった。今年はそういうことがないように一から百まで詰めていきたい」。敗戦を糧に幾通りのシミュレーションを練り上げる。

 広島県勢初の王者誕生へ機は熟した。「(GPの)雰囲気は慣れました。(競輪場に)入ってから自分のやること、過ごし方は分かったつもり。取りたいなという欲、優勝したいという思いは強くなってきている」。変幻自在のアルティメット走法で競輪選手2200人のテッペンに立つ。