日本競輪選手養成所第125回生、126回生(ガールズ)の卒業記念レースは6日、静岡県の伊東競輪場で最終日を行う。森田一郎(23=埼玉)は、ある男に憧れのまなざしを向ける。

「ザ・競輪、ですよね」

 見つめている選手は同県の先輩・森田優弥で、師匠・山信田学を同じくする兄弟子だ。その走りを「いつも見て、目指すものがあると感じています」と話した。憧れた競輪の世界に、飛び込もうとしている。

 杉戸農高時代は目立った成績を残せず、朝日大に進学して成長を果たした。競技大会でもケイリンで結果を残し、なんと「ナショナルのBチームに声をかけてもらったんです」と卒業後は静岡に拠点を置き、ナショナルチームでも活動していくという。「僕もビックリなんですが」と頭をかくが、可能性は果てしなく広がる。もちろん「ナショナルチームの方々は両方、強いので」と両立を目指す。

 養成所時代には「お客さんの車券の対象になる、という意識をすごく学べました。プロ意識がないとやっていけない。7年間の競技生活とは違う、と思っています」と脳みそと気持ちが一段切り替わったという。

 古風な名前で、漢字の競輪を愛する新星が、新時代を切り開いていく。