弥彦競輪GI「第35回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」は11日、3日目を行った。吉田拓矢(31=茨城)は同県の後輩・木村皆斗と力を合わせ決勝進出を決めた。
夕焼けの空が静かに沈んでいく。弥彦の長い直線に刻まれた熱が、夜の穏やかさを伴い天へと昇っていく。この大会は、特別だ。
「諸橋さんの分まで」
喉の奥からの声は、かすかに震える。関東の先輩としていろんなことを教えてもらい、ともに戦い、最後のレースも一緒だった。諸橋愛さんが悲しい事故でこの世を去ってしまってから、まだひと月もたたない。
覚悟を胸に、挑んでいる。
準決10Rは「一番期待している後輩」という木村皆斗が大奮戦。2人で決勝に勝ち上がることができ「自分が一番驚いてますよ」と木村の戦いを喜んだ。このゴール後には木村が興奮して、吉田の肩を叩こうとしたものの、繰り出したのはまさかの右ストレート。「どつかれました」と笑った痛みがうれしかった。
関東の選手たちの咆哮が響く。文字通り命を懸けて戦い抜いた諸橋さんのホームバンク。その思いを受け継いでいきます、と伝えるための決勝戦。背負うものは大きく、向き合うべき事実は苛烈。しかし、乗り越える姿を見せることしか道はない。