いよいよ本デビューを迎えた127期、128期のルーキーを紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」。父、兄も競輪選手のガールズ伊藤木々音(22=岐阜)に注目。プロになるまでの意外な〝まわり道〟とは…。
その時は突然、訪れた。競輪選手の父(嘉浩=79期)と兄(温希、はるき=121期)を持ちながらも「運動は苦手で避けてましたね」。中学、高校では「マーチングでトロンボーンをやっていて、高3では主将でした。ただそこで燃え尽きた感じ。競輪ですか? まったく眼中になくて、レースすら見てなかった」。高校卒業後は「大きいことをするための軍資金をためようと」三重県のナガシマスパーランドに勤めていた。
そんな時、たまたま大垣競輪場で目にした増田夕華(せつか=118期)の姿に目を奪われた。「カッコいいなって」。競輪選手養成所の試験は2度目で合格。しかし入所後は「絶望感が強すぎた」という現実に直面する。「入ってすぐは全部がドベ(最下位)みたいな感じで…。合格時のタイムを見て察してはいたが…」。気持ちの焦りから、夏に落車して鎖骨を骨折。ワットバイクでの調整がさらに焦りを生むという悪循環に陥ってしまう。
だが教官からは「競輪に向いている脚、とは言われました」と評価された。12位という養成所成績を「自分としては頑張った方」と自己評価した。しかし、5月スタートのルーキーシリーズで再び試練を迎える。「振り返るとヤバかった。マークを多くやってきたし、消極的なレースが多かった。四日市では直前の調整もうまくいってなかったし」。それでもプラス面もあった。「いわき平の最終日に思い切って出た時に、動いた方が勝てるのでは? とも思いましたね」。大カマシでの実戦初勝利が、自信につながった。
本デビューまでの1か月はバンク中心に練習を重ねた。「ルーキー前に1か月空いた時は、やりすぎて調子落ちになってしまった」だけに、過ちを繰り返さない。デビュー戦は5日からの岸和田を戦い、そして富山と続く。「楽しみ2、不安8です」の中だが、富山は「兄と父と同時あっせんなので」。成長した姿を見せたいところだ。
目標とする選手を聞くと「自分にとって理想のレーススタイルだと思うのが当銘直美(114期)さん。パールカップ前には一緒に練習させてもらいました」。そして夢は「行けるところまで、できるところまで。夢は大きい方がいいが、まずは現実的に普通開催で優勝したい。クリアできれば次へ、ですね」。デビュー後も一歩一歩、階段を上って行くつもりだ。
Q&A
――休日とかは何をしている
伊藤 う~ん…。インドア派なんですよね。オフだ! やった! 1日寝よう! みたいな。
――外出とかもない
伊藤 家族と過ごすことが多いですね。ひと回り違う弟がいて、キャッチボールしたり、飼っている犬と散歩したり…。
――趣味とかはある
伊藤 無趣味というか、飽きっぽくて(笑い)。お菓子づくりとか、雑貨やインテリアにハマったけどすぐ飽きる。しいて言えばお笑いと、人と話すことが好きですね。友達と喫茶店(コメダ)とかで何時間も話してしまうことも…。
☆いとう・ここね 2003年1月27日生まれ、岐阜県出身。158・4センチ、57キロ。養成所順位は12位。師匠は父嘉浩(79期)で、兄の温希(121期)も競輪選手。「選手を目指す時、兄は喜んで、父は『お、おお…』って感じでした」。血液型はB型。