名古屋競輪GⅠ「第79回日本選手権競輪」(優勝賞金9400万円・副賞含む)は最終日の4日、11Rで決勝戦が行われ、真杉匠(26=栃木)のまくりに乗った吉田拓矢(29=茨城)が抜け出し優勝。2021年の小倉競輪祭以来、通算2回目のGⅠ制覇を達成し、12月の平塚KEIRINグランプリ2025の出場権をゲットした。
2年分の思いを込め〝ダービー王〟の座をゲットした。昨年、いわき平の決勝では平原康多―武藤龍生を背に、献身的なロング駆けで平原の優勝を支えた。今年は真杉匠を目標に得て、意気込むものがあった。吉田とGⅠ決勝といえば、どうしても2023年の西武園オールスターでの暴走失格が思い浮かぶ。その時は真杉の前で戦い、真杉のGⅠ初優勝に貢献した。
「あれからずっと真杉は自分を気にかけてくれるんです。(今年2月の)全日本選抜の決勝も頑張ってくれたし、今回も勝負権のあるところまで連れて行ってくれた。(真杉とは)あまり上下関係がないから僕もとっつきやすいし、向こうも来てくれるいい関係性」と、西武園を契機に信頼関係は深まった。それゆえに4角で菅田壱道が落車した際、真杉が締め込み気味に回ったプレーが審議となると「真杉が失格したらオールスターみたくなってしまう。セーフでよかった」と二の舞は避け、心の底から安どした。

GⅠ初戴冠の2021年競輪祭から約4年の歳月が流れた。「取ってからはいいことの方が少なかった。でも、腐らずやってよかったですね」としみじみ。近況では昨年の競輪祭や1月立川記念での落車禍による負のスパイラルもあったが、それを断ち切って余りあるVとなった。
競輪から離れれば家族との時間を何よりも大事にし、麻雀をこよなく愛する好漢だ。「子供が誇りに思ってくれる父親でいたいし、落ち込んでなんていられなかった」。役満クラスのドでかい上がりをツモり、牌勢は上向いてきた。今後も父は強し!を体現する力強い走りでバンクを席巻していく。