7月に本デビューした125、126期に注目する「Challenge! 競輪新人選手紹介」は小山峻汰(24=熊本)をピックアップ。7月に再開した熊本競輪場とともに一歩目を踏みだした地元の元気印は無鉄砲だがどこまでも一生懸命で底抜けに明るい男だった――。

 選手だった父、琢磨さん(75期・引退)は、いつもニコニコと笑みを絶やさぬ温厚な人柄でファンや仲間たちから愛された地元のバイプレーヤーだった。そんな父親の背中を見て育ったとあっては悪人であるわけがなく、現場でも父親ほど年齢の離れた先輩たちからイジられても、愛嬌ある表情でどんな球も打ち返している。

「アホなんですよ」と済ませるが、競輪養成所には4回目の試験で合格するなど苦労人でもある。だから「お世話になりっぱなしで自分の競輪の父。『競輪は脚がなくとも考えて走れば勝てる』って言葉を大事にしています」と、師匠の合志正臣には頭が上がらない。

 練習グループ「合志一門」には総代・瓜生崇智に山川奨太、松本憲斗、田中会心、直弟子ではないが米村光星、徳永泰粋らがおり、抜群の環境下で脚を鍛えている。

 なかでも田中とは中学の野球チームからの腐れ縁で「高校に入っても将来、競輪選手になりたいとずっと話していて。会心のお父さん(田中公一朗・74期・引退)と父も幼馴染」と同じ志を共有してきた。

 そのチームには河崎正晴もおり「河崎は最初、自衛隊に入りました。でも『やっぱ受けるわ』と言って自衛隊を辞めて1回目の試験で合格した。俺は4回、会心は3回も受けたのに(笑い)」と毒づいたが、仲は決して悪くなく、3人に米村が加わるとさらに暴走が止まらなくなるという。

「高木(竜司)さんに『4バカ』と名づけられたぐらい(笑い)。メシにいくと本当に楽しくて、俺と会心がフザけすぎて河崎と米村がスカしてモテるって流れ。アイツらいつもいいとこ取りです(笑い)」と昼も夜も色んな意味で切磋琢磨している。

 小山には人を乗せ、巻き込む力がありそうだ。信頼関係を高め、同じ目標に向けて突き進むためには必要な能力で、天性の明るさは一種の才能といえる。競輪はライン戦と呼ばれるだけあって、仲間との綿密な関係の構築が戦う上での大事な前提となる。

 これからも地道に脚をつけ、底抜けの明朗さで周りを笑顔にし、再始動した熊本競輪と共に賑やかに前進していく。

Q&A
 ――同期で仲がいいのは?

 小山 山口の藤井(優希)さんと兵庫の油谷(蒼)さん。あと山下祐輔(千葉)、志田愛希飛(富山)、岩井芯(岐阜)とか。このメンバーでイロモネアとか笑ってはいけない~みたいなことばかりやっていました。みんなケタ違いにぶっ飛んでいます。

 ――熊本でおススメの店は?

 小山 「かつ美食堂」の馬ホルモンと「一里河来」の中華ですね。メシが何杯でもいけますよ。ちなみに「一里河来」は西島(貢司)支部長の誕生日会の会場でした(笑い)。

 ――地元の選手で気になるのは?

 小山 (中川)誠一郎さんですね。オーラの無いオーラがあると言いますか、すごい方で。父のS級初優勝は誠一郎さんに取らせてもらったと聞きました。いつか自分がレースで恩返ししたいです。

 ――父親は元気か?

 小山 はい。引退後はバスの運転手をしています。偶然、街に飲みに出る誠一郎さんが乗ってきたこともあったそうです。

☆おやま・しゅんた
2000年5月20日生まれ、熊本県出身。181・8センチ、83キロ。父の影響で競輪選手を志し、高校卒業後から4回目の試験を経て日本競輪選手養成所に入所。将来は「流れで何でもできる選手」を目指し、日々研鑽を続けている。