名古屋競輪のGⅠ「第79回日本選手権競輪」(優勝賞金9400万円・副賞含む)が29日、幕を開ける。S級S班9人を筆頭に162人の精鋭たちが一堂に顔を揃え激闘を繰り広げる。初日のメインの11R特別選抜予選では武藤龍生(34=埼玉)に注目だ。
スピードKEIRINナウ! 自力選手全盛時代に、最後の刃を向ける侍がいる。たつお。その存在は競輪に焦がれ、全身競輪まみれになった人間たち、最後の希望なのかもしれない。
「自分の役割をしっかりと」
武骨を極めた表情で大きなことなど言わない。2021年5月京王閣ダービーでGⅠ初決勝進出し5着。昨年5月いわき平ダービー決勝も5着。実力が問われる当大会で、着実に結果を残してきている。追い込み選手として…。
「今までやってきたことがつながっているのか、いい形で走れるようになっているとは思います」
先頭で風を切る自力選手を立てるのが第一義でも、その後ろでの働きは多くの選手が見逃すものではない。
「最近、ちょっとよく言われます…」
たつおが後ろを回っていることで自力選手がよどみない仕掛けを打ち、連係、というよりも、連動、という形で結果につなげるシーンが多く見られている。その存在感を、みなに指摘されるという。初日は関東3番手。吉田拓矢―小林泰正を心でつなぎ、ライン上位独占を演出する。〈11R出走〉