その涙の輝きは、日本一の重み――。平塚競輪GⅠ「第80回日本選手権競輪」(優勝賞金1億300万円=副賞含む)は6日、最終日を開催した。決勝は古性優作(35=大阪)が巧みな立ち回りから直線鋭く抜け出して大会初制覇。一昨年10月弥彦の寬仁親王牌以来となる9回目のGⅠ優勝を手にした。ダービーの完全優勝は73回大会の脇本雄太以来、史上8人目。
涙は弱さの象徴ではない。強いから、強かったからこそ、涙があふれた。熱い涙をぬぐいながら、驚きの言葉をはっきりと口にした。
「昨年は思うように走れず、選手を続けていいものか悩んだ」
引退すら考えるほど、自分と向き合っていたのだ。夏には右肩の重傷もあった。ファンの期待に応えられない…。どうあるべきか。
「納得いく走りがまったくできなかった。でもそんな自分にもファンは声援を送ってくれて、今年はグランプリを勝ったわけじゃないのに〝王者〟と呼んでもらったり」
迷う自分はいたが、進むしかない。背中を押してくれる人たちがいる。そして「一番勝ちたい大会」と公言してきた日本選手権競輪の優勝を頭に描き、心に刻んできた。日本一の競輪選手になるために「すべてを競輪にささげてきた」――。
武骨な男が「それが報われたと思うと、ホンマにうれしい」と涙を流す姿に、想像を超える道のりがあったのは間違いない。決勝は「想定外も想定外」と振り返ったが、積み重ねてきた底力が体を自然に勝利へと導いた。
闇の中で苦しんだ時を乗り越える強さがあったからこその涙。日本一の競輪選手が流した涙の重みと意味は、強さだけを示していた。