123、124期の新人選手を紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」は北陸期待の宮西令奈(22=石川)を取り上げる。元日に襲いかかった能登半島地震に心を痛め、少しでも地元に元気を届けたいと燃えている。
年が明けたその日、16時過ぎに北陸地方を大地震が襲った。昨年末の小倉ミッドナイトフィナーレを31日に走り終えていた。
「家に着いたのは1日の昼くらいでした。そこからはまったりしていたんです」
ひと息ついていたところに、揺れが襲ってきた。家には高校2年生の弟がいて、こたつで寝ていたという。その時「すごい揺れが来て家の中のものが落ちてきそうだったので、私はとにかく弟を守らないと、と思って手を踏ん張ってかばってました」と、衝撃を振り返る。
住んでいる加賀市は震源地からはやや遠く「棚まで倒れることはなくて、大きな被害というのはなかったです」。おびえる中、「同期みんな、それに私に関係する人たちみんなが『大丈夫?』と連絡をくれました」と励まされた。
石川県の自転車競技場である内灘バンクは「ちょっとヒビが入ったみたいですが、ひどくはなかったみたいですぐに業者の方が直してくれたそうです。ただ、そこに行くまでの道路とかが波打っていて、高速道路も止まって」と、しばらくは街道の練習できる場所で、すぐに迫った松戸開催(7~9日)に備えた。
甚大な被害があった能登は「空手をやっていたころに行ってました。友だちも住んでいて、無事は確認できましたが」と、惨状に胸は痛むばかり。「お手伝いとか支援に行ければと考えているんですが、今すぐには…何も。いろんな人に相談してやっていければ」。復興に向けて、時間がかかることは間違いない。1人のプロスポーツ選手として、できることを模索していく。
7月の本デビューから、随所に才能の片鱗を見せてきたが、壁に当たり苦しんでいる。目下は「レースの中での対応が下手。踏んだりやめたりの強弱があると、離れてしまう」という課題がある。
武器は持って生まれた突進力。デビューすぐにNHKの名物番組「のど自慢」で熱唱し、トークショーで空手の型を披露した際には、あまりの〝ガチ〟さに見ていたファンがビビるといった現象を起こしてきた。
明るく前向きな力で、北陸に元気をもたらすファンキーガールだ。
Q&A
――空手をやっていた
宮西 5歳から18歳までやってました。
――道場の仲間に…
宮西 ボートレーサーの井上遥妃(はるひ)がいるんです。
――連絡も取る
宮西 この前、遥妃が帰ってきた時にウチのバーに来たんです。その時にいっぱいしゃべりました。
――ウチのバー? BAR?
宮西 実家がBARなんです。祖父のころからやっていて創業40年くらいかな。「トランザム」っていう名前です。
――ご自身は、お酒は
宮西 私、20歳になってすぐは飲んでいないんです。20歳になって秋に競輪選手養成所の一次試験があったので、そこまで我慢しました。
――本当に?
宮西 本当です! それで試験が終わって焼き肉屋でピーチ酎ハイを飲んだら、薄くておいしくなかった。帰って実家のBARで飲んだら美味しかったです。
☆みやにし・れな 2001年6月7日生まれ、石川県出身。159・8センチ、58キロ。師匠=山崎晃(95期)。宮西翼(100期)は叔父。