令和6年能登半島地震復興支援競輪として行われる西武園競輪の大阪・関西万博協賛GⅢ「開設74周年記念 ゴールド・ウイング賞」が20日に開幕し、一次予選8Rで吉田有希(22=茨城)が2着で二次予選進出を決めた。

 鐘3角で先頭に立ち、宿口陽一(40=埼玉)―小沼良(52=埼玉)の援護を背に快走。最後は宿口に差されたが、ラインでの上位独占に「3人で決められて気持ちいい」と目じりを下げた。

 らしさの詰まった走りが復活した要因は、いくつかある。セッティングでの微調整やシューズがかみ合ったこともそう。ウエートトレーニングをやめて最高96キロだった体重を90キロまで落とし、乗り込みと体幹トレを中心とした練習メニューに変えて失われていた「しなやかさ」を取り戻したことも奏功した。

 そうした変身ぶりの原点となったのが、S班に君臨する真杉匠(25=栃木)からの「1回、落ちこぼれた方がいい」とのアドバイスだったという。中途半端に目先の結果を求めるのではなく、底まで落ちることで見えてくるものがある――。自身の経験に即した助言は吉田の心に刺さった。

 最近では疲労の抜き方が分かってきたといい、スギ花粉がピークを過ぎて薬を飲む必要がなくなったことも復調の要因になっている。

 レースには「前を走っていれば何かしらいいことがある」と信じて臨んでいる。初日を終え「真杉さんを見習って長い距離を行けたし、感触も良かった」と手応えもつかんだ。準決進出をかけた21日の二次予選11RではS班の深谷知広(34=静岡)に胸を借りることになったが、もちろん自身のレーススタイルを変えるつもりはない。