125期、126期のルーキーを取り上げる「Challenge! 新人競輪選手紹介」。今回は父の思い付きのような提案から、あれよあれよという間にガールズケイリン選手にたどり着いた佐藤乃愛(21=北海道)に迫った。
小学校3年生から高校3年生まで陸上競技に打ち込み、主にハードル走など短距離種目に取り組んだ。競輪に興味を持ったのは高校時代。「ある日、父が突然『競輪選手を目指してみれば』と言い出したんです。なぜか母も乗り気になっちゃって(笑い)」と、両親の勢いに押されるまま、興味本位で函館競輪場へ足を運んだ。
そこで目にしたのはバンクを力強く駆け抜けるガールズ選手たちの姿。初めて目の当たりにした競輪の世界だったが「自分にもできるんじゃないか」との思いが込み上げた。
函館けいりんのガールズ選手育成プロジェクト「ホワイトガールズプロジェクト」に参加し、本格的にガールズケイリン選手への道を歩みはじめる。明田春喜(44=北海道)に師事し、練習に打ち込んだ。「始めたばかりなのにタイムも出たし楽しかったけど、やっぱり練習は大変でした」と当時を振り返る。
もともと子どもが好きで「保育士になろうかなと考えていた」というが、一転してプロアスリートの道へ大きく舵を切ることに。努力の末、2回目の挑戦で養成所試験の合格を勝ち取った。
デビュー後は荒波にもまれるような厳しい現実に直面している。「成績が悪くて、レースに行くのが憂鬱になるこもあります」と率直な気持ちを吐露。思うように結果が出ず沈むこともあるが、それでも歯を食いしばってレースへ向かう。「理想は自力でまくれる選手になりたい。でも、まだまだ脚が足りません」と課題を口にする。
今年は初めて冬季移動を敢行し、福島・いわきでのトレーニングを実施。同期で親しい三沢あゆみ(20=宮城)と切磋琢磨しながら技術を磨き、男子選手の五十嵐綾(24=福島)らからセッティング面のアドバイスを受けることで新たな発見も得た。
その成果は着実に表れ始めた。3月の四日市(4日制)では準決勝に進出。初日は太田瑛美の後位をキープし、2着に食い込む好走を見せた。予選での連対は昨年8月の立川以来約7か月ぶり。人気の日野未来に先着する結果に「千切れかけて(日野に)番手を取られそうになったけど、なんとか踏ん張りました」と成長の一端が垣間見える開催となった。
最後に選手としての目標を尋ねると、迷いのない答えが返ってきた。
「函館で優勝したいです! まだまだ時間はかかると思うけど、いつか、必ず」
地元での栄光を胸に、ノアの航海は始まったばかりだ。
――休みの日は
佐藤 犬と遊んでます。トイプードルとコーギーのミックスで名前は『リッツ』」なんですけど、誰も名前で呼ばず『りつお』って呼んでます(笑い)。
――ハマりものは
佐藤 同期のユーリンチー(伊藤優里)がハマっているビーズを付けて絵を作る「ダイヤモンドアート」を一緒にやってたら自分もハマっちゃって(笑い)。無心でやってます。これまででにラプンツェルやトトロとかつくりました。
☆さとう・のあ 2004年2月25日生まれ、北海道函館市出身。161・5センチ、60キロ。大好物は「寿司」。