伊東温泉競輪場のミッドナイトFⅠが19日に開幕する。今節は2025年度から試行実施「KEIRIN ADVANCE(ケイリンアドバンス)」の第1弾(青森ミッド同時開催)。S級戦士が深夜のみかりんバンクに集い激闘を演じる。
KEIRIN ADVANCEとはガールズケイリンと同様に「先頭固定競走(インターナショナルルール)」に則った新たなケイリンスタイル。最大の特徴は競輪と違いラインという概念が排除され、すべて個による戦いとなる。純粋な脚力勝負は、キャッチコピーの「一番速いヤツが、勝つ 新しいKEIRIN、始まる。」を地で行くスピード合戦となりそうだ。
その第1回目を飾るにふさわしい華のある男が参戦。佐藤慎太郎(48=福島)だ。
1月松阪競輪GⅢの決勝で落車し骨盤を骨折し今回が復帰戦。約3か月の治療期間を経て、ニュースタイルの〝ケイリン〟に挑む。この日は一番乗りで競輪場入り。高ぶる気持ちを抑えきれず、それだけ好気合だったかと思いきや…。
「気持ちが高ぶる? いやいや、違うの。ミッドが初めてだからさ、15時までに入ればいいって知らなかったんだけ(笑い)。昼飯も出ないんだって」と出だしから拍子抜け。それでも、久しぶりの実戦復帰に気持ちはこもっている。「戻りは5割程度。正直、万全じゃないけど走るからには全力でやりますよ!」
だが、ひとつだけ疑問が残る。なぜ、このタイミングでの復帰を考えたのか、だ。「先送りにすればするほど戻るのに時間がかかると思ったんですよ。現場の空気感とかを感じるだけでモチベーションアップにもなる」と明確な意思があった。
ただ、勝手の違う新ルールには戸惑いもある。「ヨコができない、ミッドナイトが初めて、仕上がりもまだまだって、これじゃあ包丁を取り上げられた寿司職人だね。巻物はスプーンを使うウニ、いくらだけ。かんぴょうも切れねぇよ。海苔? ハサミで切っちゃう」とヨコに動けぬ独自のルールを追い込み選手の視点から指摘した。
最後には記者陣に注文も。「ミッドは伊東に来てもスタンドに入れないんだよ。SNSでファンの人に聞かれたんだけど、みんな教えておいてよ。ファンの皆さん、どうぞパソコンや中継を見てください」と、要望し復帰戦をアピールした。