川崎競輪ナイターGⅢ「開設76周年記念 桜花賞・海老澤清杯」は19日、開幕する。地元勢はS班で総大将の郡司浩平を筆頭に気合乗りも十分。なかでも静かに闘志を燃やしているのが、GⅢ初制覇の期待もかかる佐々木龍(34=神奈川)だ。
今期から三男の和紀が戦いの場をS級に移し、今回は二男の真也とともに初めて佐々木3兄弟が同一開催でそろい踏みした。龍は「あっせんが出たときから気合が入っていた」と言い、兄弟子の松谷秀幸も含めた4人で練習に打ち込んできた。その効果か、3月の四日市では2022年6月取手以来となるS級での優勝を手繰り寄せた。
転機の一つに、3兄弟のトップを切って昨年9月に真也が青森記念でGⅢ初Vを飾ったこともあった。「うれしい気持ちもあったし、身内から優勝者が出て『自分にもできるんじゃないか』と気づかされました。気づかされていちゃダメなんですけどね(苦笑い)。あれでスイッチが入ったというのはありますね」
川崎の選手からは「練習で一番強いのは和紀」という声を聞く。その点について龍は「和紀はダッシュがありますから。兄弟で一番弱いのは僕です」と自虐的に笑うが、競輪はタイムで着順が決まるわけではない。積み重ねてきた経験は実戦の場でこそ生きてくる。
初日は和紀が8Rで野口裕史―東龍之介の3番手として先陣を切り、真也は嶋津拓弥―飯田辰哉を背に10Rに臨む。根田空史を目標に大木雅也が3番手を固める盤石の布陣で9Rに出走する龍は「順番的には僕が二男ですね」とリラックスした様子で19日から始まる4日間に及ぶ激闘を見据えた。
直前には3兄弟がそろって師匠で父の龍也さん(57期=引退)が待つ実家で神棚に手を合わせてきたという。地元ファンの声援も味方に佐々木3兄弟が力を合わせて今開催を盛り上げる。