競輪界を長くけん引してきたスター選手の平原康多(42=埼玉)が23日、日本選手会に競輪手帳を返納、引退した。2002年8月デビュー、GⅠで9勝を飾るなど大活躍し、多くのファンに愛されたスター選手がバンクを去った。

 引退の引き金になったのはケガ。2023年4月の武雄記念の落車で肩甲骨を骨折し、復帰した6月岸和田GⅠ高松宮記念杯で左股関節に重傷を負った。「グロインペイン症候群って、そんな診断でした。自分もそんなのがあると今回知りましたよ」。そう笑って話し復活を目指す時期が続いたが、肉体はボロボロだった。もう、戻らない。

 昨年5月いわき平GⅠ日本選手権の優勝で輝きを取り戻したかに見えたが、実状は違った。今月上旬の名古屋GⅠ日本選手権の初日特選で2着に入ったものの、限界を悟り今回の決断に至った。

 ラインのため、仲間のため、をレースで表現し、人間臭く競輪と向き合い続けてきた。無類の研究心と根性で幾度も困難を乗り越えてきたが、ここで旅の終わり。誰よりも似合っていたS級S班の誇らしい赤いパンツのまま、第2の人生に向かう。今後は未定だが、競輪界をより先に進める役割を果たしていくだろう。