今月から続々と本デビューを迎える127期、128期のルーキーを紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」。今回は上杉有弘(ともひろ、23=福井)をピックアップ。兄・嘉槻(119期)とともに近畿地区の未来を背負う大器はグランプリスラマーの脇本雄太に師事し鍛錬を積んでいる。
高校時代は福井の坂井高校自転車競技部に所属していた。自転車の道を歩み始めたのは「兄が高校から自転車を始めて『練習つらいけど頑張る』って言っていたらめちゃくちゃ強くなっていって…。『お前も自転車やってみる?』みたいに言われた」ことがきっかけ。
目の前に追いかける存在がいること、そして強くなれることが楽しさを生んでいった。もちろん「自転車ってお金がかかるんですけど、そこは許してくれました」と両親が兄弟で同じ競技へ進むことを応援したことも大きかった。その後は朝日大学へ進むと、2022年に全日本学生トラックスクラッチで1位を獲得するなど結果を残した。
脇本とは「(練習)グループにうちの兄貴がいて、『弟も一緒に練習どう?』と誘ってもらえた」流れから師事するように。養成所ではタイムなど目に見える部分の向上も求められるが、脇本の下ではより実戦的な要素が探求されているようで「練習は相手をどうやって合わせるかとか、間合いを詰めて一気に抜くとかの練習が基本ですね」。
そもそも「『養成所のタイムとか何の主張にもならない。タイムを出せたからいいというわけではない』と言われているので」。時計勝負の自転車競技ではない、各人の思惑やラインも絡む競輪で勝つための極意が伝授されている。
目立ったのは6月上旬に玉野で行われたルーキーシリーズでの激走。アドバンスルールということもあって先行=裸逃げだったが、初戦ではカマシでもなく抑えての鐘過ぎ4角先行で同期たちの二の矢、三の矢まですべて合わて逃げ切って見せた。この走りの要因にも脇本からかけられた言葉があったようで「『(本デビュー後の)ライン戦で番手を引き連れて勝てるような戦い方を目指してこい。動きも見て着も視野に入れる様に』と」。単騎戦でもラインがあっても仕掛けのポイントは似てくる。
そこを意識するのを大前提に結果も――。特大の〝ハードル〟を課せられたのも、それをやってのけるだけの素質と芯の強さが認められているからだろう。
今は自身の楽しみを封じて「練習ですね。体づくりもそうですし。とりあえず強くなることを意識してます」。本デビュー後の目標は先行して特別昇班すること。そして先には「先行してGⅠ優勝を」。充実の環境でストイックに自身を追い詰める新星の今後に大注目だ。
Q&A
――兄弟でお酒を酌み交わしたりする
上杉 兄はお酒、結構やばいので(笑い)。普段は緑茶とかオレンジジュースを飲んでますね。
――未来の兄弟連係の前後は想定している
上杉 絶対、僕が前で引っ張る方です! 兄からは「早く(S級に)上がって楽させてくれ」と言われてます。
――お金をためて買いたい物は
上杉 車は欲しいものがありますね。今一番、カッコいいと思うものがあって…車種は本当に手にできた時にお話します。
――読者へアピールを
上杉 自力で魅了できるように頑張ります!
☆うえずぎ・ともひろ 2001年9月26日生まれ、福井県出身。182・8センチ、81・2キロ。師匠は脇本雄太(94期)。養成所順位は63位。養成所時代の第3回記録会ではゴールデンキャップを獲得した。