127、128期のルーキーを紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」。ガールズ4人目は在所13位の北津留千羽(19=福岡)だ。北九州が生んだスーパースターである父・北津留翼(90期)の背中を見て育った娘がついに羽を広げた。
「競輪選手を目指してみようかな」
高3の時、北津留千羽は父・翼に気持ちを伝えた。ケガを心配する父は最初、同じ道に進むことに気が乗らなかったが、「やりたいっていう意志をはっきり伝えた」娘の熱意には勝てなかった。
自転車をこよなく愛する家族の影響で千羽は小学3年からマウンテンバイクを始めた。自然に囲まれた起伏のあるコースを力いっぱいに駆け回り「(大会では)最初は勝てなかったけど、練習を頑張っていくうちに力が付いて表彰台に乗れるようになってきて、スポーツって楽しいなって思えるようになった」。
高校生活が終わりに近づき、今後の身の振り方を考えた時でも自転車を続けたい気持ちは変わりなく「自転車もできて、就職もできるとなったら…」とガールズケイリン挑戦を決意。もちろん、父の影響も大きい。オリンピアンで今もS級1班で活躍する翼は北九州が生んだスーパースター。「父のレースで走る姿やファンの方に応援される姿」を誇らしく思っていた。
父の熱烈な指導の甲斐あって千羽は日本競輪選手養成所に一発合格。約11か月の養成期間を経て今春、競輪選手へ。7月名古屋で本デビューを果たした。父と同じ世界に羽ばたいたことで「父の大変さを改めて感じた。こんなに緊張もするし、走りがうまく行かない時が多い中で、心も折れずに続けてきたのはすごい」と偉大さに気づいた。
デビュー戦では最終日に初勝利を挙げたが、決まり手が「差し」だったため、自力の決まり手(「逃げ」か「まくり」)が欲しいなと思っていたところ、3場所目の8月高知最終日にまくって勝利と1歩ずつ階段を上がっている。直近の目標は「決勝に乗れるように」と話し、その先には「GⅠとかグランプリの大きなレースに出場して上位で活躍できるようになりたい」と目を輝かせる。
福岡支部には児玉碧衣、尾方真生、小林優香ら人気、実力を備えた選手がいるがホームバンクは久留米で、小倉では北津留が最初のガールズレーサー。「誰もいないので不安な時もあるが自分が強くなって代表する選手に名前を残せたらなと思います」。小倉では毎年、GⅠレース(競輪祭、競輪祭女子王座戦)が開催される。ツバサとチハネの〝父娘共演〟がファンには最高のドラマだ。
Q&A
――オフの日は何を
北津留 お出かけに行きたいなって。買い物とか…。この前は家族で長野県に旅行しましたよ。
――趣味は
北津留 絵を描くのが好きです。落書き程度なんですけど(笑い)。キャラクターとか…。
――キャラクター
北津留 今は「ちいかわ」。可愛くて癒しです。
――お父さんはパンをつくっているとか
北津留 あっ。ビックリしますね。一緒にいたら手伝いますよ。
☆きたつる・ちはね 2006年3月2日生まれ、福岡県北九州市出身。152・8センチ、61・2キロ、師匠は長くトップクラスで活躍し、2008年北京五輪に出場した北津留翼(90期)。