12月30日に平塚競輪場で開催される「KEIRINグランプリ2025」の共同会見と前夜祭が19日、都内のホテルで行われた。注目の並びは近畿4人が揃って保留。初出場の阿部拓真も明言を避けた。

 決まった並びは真杉匠―吉田拓矢の関東連係と郡司浩平、嘉永泰斗が自力を表明したのみ。近畿は脇本雄太、古性優作、寺崎浩平、南修二の4人が揃ってコメントを保留し、阿部拓真も「考えて前検日までに」とした。

 何といっても気になるのは脇本のコンディションだ。10月寬仁親王牌で左肘関節脱臼骨折の大ケガを負い、11月競輪祭を欠場。2か月ぶりの実戦が一発勝負の大舞台となる。史上初の6つのGⅠ、GP完全制覇のグランプリスラムを達成した節目の年の最後に、大きな試練が訪れた。

 会見で脇本は「僕の状態もあって、まだはっきりとは言えない」と静かに話した。ヒジは手術し2週間ほど動かせない状態が続き「競輪祭の時期あたりから」練習を再開。近畿合宿にも参加したが、まだGOサインを出すには至っていない。「GP前日までには答えを出したい」と話した通り、結論は出場9選手が平塚入りする28日以降になるかもしれない。

 緊張感漂う会場の雰囲気を一気に和ませたのが古性だ。「競輪祭の後は計画的に体調を崩して、その後は計画的に練習」と、ここ1か月をウィットに富んだ言い回しで報告。並びに関しては「決まっていない」と前置きした後「南さんが先頭でやりたいと言うのを必死で止めているところです」と話し、会場の爆笑を誘った。

 競輪祭優勝で周囲を驚かせた阿部もコメントを濁した。「弱いなりに自在でやってきたという思いもあるし、競輪祭で(吉田)拓矢に世話になったというのもある。もう少し考えて前検日に(結論を)出せれば」と、自分でやるか位置を決めるかの二択で揺れている心境を明かした。車番は予想通り? の6番車。「圧倒的な6番車だと思うのでうれしいぐらい」と笑顔を見せた。

 関東はすっかりおなじみの真杉―吉田の布陣で臨む。真杉は「1年を通して納得のレースができなった。最後を獲って締めくくりたい」と意気込み、4年ぶりの大舞台返り咲きとなる吉田は「真杉とこの舞台で走れるのがうれしい」と話した。長らく関東をけん引した平原康多氏が5月に引退。後を託された新ゴールデンコンビが、ワンツーを決めた名古屋ダービーの再現を目論む。

 地元開催に燃える郡司は6回目の挑戦で悲願の頂点を狙う。2025年を「GⅠで結果を出せず、悔しくふがいない」と総括しつつ「それでもGPを走るチャンスをもらえた。感謝の気持ちを持って走りたい」と力を込めた。

 阿部も含め初出場は4人。寺崎は「オールスターを勝った恩返しができるような走りを」。南は「1年を通してたくさんの人に助けられた」と、ともに近畿の仲間たちに感謝。嘉永は「どんな形でも自分でやって力を出し切る」と、九州に6年ぶりのGⅠタイトルをもたらした寬仁親王牌の決勝同様に単騎での一撃に賭ける。