127期、128期のルーキーを取り上げる「Challenge! 新人競輪選手紹介」。今回は高校時代から世界を舞台に活躍した期待の新星・生野優翔(23=大分)をピックアップ。〝あの〟地元の大物レーサーとの不思議な縁も明らかに――。

 その縁は約40年前。当時小学生だった生野の母が、地元別府の〝ビッグネーム〟大塚健一郎と同じ小学校に通い、一学年下の大塚の通学の世話をしていたという。

 今では泣く子も黙る気迫の走りでファンを魅了する大塚を〝幼い頃〟から知る母にとって「自転車」といえば「大塚健一郎」。高校から自転車競技を始めようとしていた息子に、大塚の母校である日出総合高校への進学を勧めたのは、自然の成り行きだった。

 自転車未経験の生野だったが「入学前に自転車を買ってもらってロードに乗ったら、意外に大人に付いていくこともできて、追い込むこともできた。これなら上を目指せるかも! という気になりました」。

 その直感どおり、高校2年でジュニア世代の日本代表に選出され、アジア選手権の団体追い抜きで優勝、世界選手権にも出場するなど国際舞台で活躍するまでになった。

 大学はそのアジア選手権でともに戦った一学年上の高橋舜(宮城=125期)、児島直樹(129期候補生)を追い、日本大学に進学。2年次に団体追い抜きの学連新記録をマークすると、4年次にはその記録をさらに更新する結果を残した。

 当初はロードの選手になること以外は考えていなかったが、同郷の先輩で、中長距離で活躍する一丸尚伍(121期)から「後悔してほしくないから競輪に行け。ロードは競輪しながらでもできるから」という熱い助言をもらい「ハッっとした」という。養成所には一度の試験で合格した。

 7月富山の本デビュー戦で初優勝を飾り、順調な滑り出しを見せた。その後も一定のパフォーマンスを続けるが、同時に課題も浮き彫りになった。

「大学の時と比べレース数が多く、体が順応できていない。強度をもっと上げたい」

 大学時代に学んだスポーツ科学の知識も武器だ。在学中には〝スポーツ選手の競技パフォーマンス〟に関する研究を行った。現在も「瞬発系のウエートの後に、ジャンプ系種目を組み合わせると、より瞬発系の動きが良くなると陸上関連の論文に書いてあったので」と最新の知見をトレーニングに取り入れ実践する。

 目標は師匠の阿部将大(117期)。「同じ高校出身で、GⅢも何度も優勝されている。練習も直感的なタイプで僕に合っている」と尊敬を込める。そして「自力でしっかりと前々に動けて、オールマイティーに戦える選手になりたい」と今後の進化を誓った。

Q&A

 ――大塚健一郎選手にお母さんの話はした

 生野 初めて伝えたとき、すごく驚かれて喜んでくれました。大塚さんには普段から良くしてもらっています。

 ――趣味は

 生野 コーヒーです。最近も12万円の電動ミルを買いました。自転車と同じで器具ひとつとっても特徴があるから、突き詰めたら面白いんですよ~。

 ――オススメの別府グルメは

 生野 胡月(こげつ)の冷麺です。高校の先輩のお父さんの店で、めっちゃおいしいので、是非来てください!

 ☆しょうの・ゆうと 2001年11月21日生まれ、大分県別府市出身。178センチ、82キロ。養成所順位は37位。ガールズケイリンの安東莉奈(122期)は日出総合高校の同級生。