127、128期の新人選手にスポットを当てる「Challenge! 新人競輪選手紹介」。今月は身体能力抜群な128期の適正1位で、師匠・芦沢大輔のような熱いハートを持つ注目レーサー半田水晶(28=茨城)をピックアップ!

 中学から始めた円盤投げでは高校時代にインターハイに出場し、大学や大学院でもインカレや日本選手権で表彰台に上がるなど活躍。実業団でも競技を続けた。しかし「記録が伸び悩んで…」と少しずつ限界を感じ始めていた。

 そんな時に進路として考えたのがガールズケイリンへの道だった。

「自分の身体能力の可能性を信じたかったんです。大学にトレーニングに来ていた小坂丈(121期)さんとは面識がありましたし、大学院の同期が梶原悠未ちゃん(東京五輪女子オムニアム銀メダリスト)なのでガールズケイリンについてはなんとなくは知っていました。小坂さんとのご縁で芦沢大輔(90期、小坂の師匠)さんを師匠として紹介していただきました」

 適正で養成所に合格すると、自転車経験が浅いにもかかわらずゴールデンキャップを獲得するなど非凡なポテンシャルを発揮。今年、無事にプロデビューを果たした。

 本デビュー戦の川崎では果敢に主導権を握ったが力尽きて5着。レースカットの影響で1走で強制帰郷となる悔しい思いをいきなり味わったが、続く2場所目の地元・取手では初日に初勝利をゲットし初優出にも成功。そして決勝では「憧れの」奥井迪を相手に、堂々の逃げ切りで見事初Vを飾った。

「競輪を少しずつ覚えてきて〝先行って大変なんだ〟って理解し始めた時に、ちょうど奥井さんがグランプリで先行して2着(2017年)だったレースを見ました。貫く姿がカッコいいなって」

 そんな特別な人を相手につかんだ初優勝は一生忘れられない思い出になったが、同時に「胸を借りる立場だったので(無欲で臨めた)。あれがまぐれって言われないように、これからもっと頑張らないと」と、一段と気も引き締まった。

 本デビューから7場所(単発競走除く)で優勝1回、準優勝1回と能力の高さを示す一方、3場所で決勝に上がれないなど、まだ粗削りな印象も残す。「先行で魅せたいという気持ちは一番だけど、その前にまずは車券に貢献しないといけない。コンスタントに決勝に乗ることが今後GⅠで戦っていくための一歩にもなると思うので。いろいろな展開に対応するための引き出しも少ないし、末脚も経験値もまだまだ足りないです」とクレバーレーサーは冷静に自己分析。

 それでも「難しいし悔しい思いもたくさんしているけど、今は競輪がすごく楽しいんです。もっといろいろ覚えて強くなって、いつか大きい舞台で風を切れる選手になりたいです!」と希望に満ちた表情で語る半田の前途は明るい。

Q&A

 ――師匠はどんな人

 半田 背中で引っ張ってくれますし、愛を持って指導もしてくださいます。私も師匠から受け継いだ熱い気持ちと根性でこれからも頑張ります!

 ――なぜ円盤投げを始めた

 半田 中学で陸上を始めた時はハードルや幅跳びの選手だったんですけど、円盤投げをやっていた顧問の先生から「投てき競技が向いているんじゃないか」と勧められました。

 ――名前(水晶)の由来は?

 半田 深い意味はないみたいです(笑い)。それでも周りになかなかいないし気に入っているのですが、大学時代に初めて同じ名前の人に会って、しかも男子だったんです。ちょっとレア感が下がっちゃいました(笑い)。

 ――オフの日の好きな過ごし方は

 半田 観劇や音楽鑑賞、あと博物館に行くのも好きです。趣味は割と文化系です(笑い)。

 ☆はんだ・みずき 1997年10月14日生まれ、群馬県太田市出身。167・5センチ、72・6キロ。筑波大学大学院卒業。師匠は芦沢大輔(90期)。