127期、128期のルーキーを紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」。今回登場の柏野健吾(22=岡山)は叔父にGⅠファイナリスト柏野智典を持つ岡山のホープ。控えめな受け答えの内に闘志を秘める好青年だ。

 岡山で柏野と聞けば、誰でもS級トップで活躍する柏野智典(47=88期)との血縁関係をイメージするが、まさにその通り。柏野にとっては叔父であり、選手となった今では雲の上の存在でもある。高校から自転車を始めた柏野が、叔父の活躍に憧れ、選手を志したのは自然な流れでもあった。

「叔父が選手なのは知っていて、大きいレースで走っているのも見ていました。はっきり選手を目指したいと思ったのは高校3年の時です」

 ポイントレースなどでのアマチュア歴もあり、トントン拍子に事が運ぶかと思いきや、現実は甘くなかった。養成所には4度目のトライでようやく合格。叔父とともにサポートしたのが師匠の三宅達也(48=79期)だ。一時は選手を志した柏野の兄が三宅に師事していた縁で弟子入りした。

「師匠には辛抱強く面倒を見てもらって、練習はずっと見てもらいました。感謝しかないです」

 三宅一門にとっても、柏野が選手になった記念すべき第一号となった。

 在所成績は25位と決して悪くはないが、上位との脚力差は大きいと感じていた。それはデビュー後も変わらず「少しずつでも差を縮めていくしかない。師匠からも『強くならんといけんな』と言われています」と、現在は経験、練習を地道に積み上げる精進の日々だ。

 本デビュー後は9月小倉、10月弥彦と2V。「落ち着いて走れるようになって、やりたいこともだいぶできるようになってきた」と成長を実感する一方で「後ろの人と決めるためには考えることも多い。この前は叔父からレースのアドバイスをもらったんですが、内容を消化し切れなくて(苦笑)。まだよく分かっていないことが多いんです」と、ライン戦の奥深さ、組み立ての難しさも感じ始めている。。

 もちろん将来は「師匠や叔父のような強い選手になること」が目標だが、選手になった今、その存在はとてつもなく大きなものになりつつある。「自分が初めて見た時はもちろん、今の年齢でもずっと強い。改めてすごいことだと思います」。これまでの足取りからも一足飛びでの出世は現実的ではないかもしれない。自ら持ち味と語る「へこたれず、あきらめない」叩き上げの雑草魂で、少しずつでも偉大な師匠と叔父の背中に近づいていく。

Q&A

 ――趣味は

 柏野 最近ゴルフを始めました。クラブも買って打ちっ放しにも行っています。全然うまくないのでスコアは聞かないでください(苦笑)。

 ――それ以外のオフは

 柏野 映画を見るのも好きだし、買い物にもよく行きます。気分転換にもなるので。

 ――初めての賞金は

 柏野 親戚一同を食事に招待しました。もちろん叔父にも来てもらいました。最近はプロはプロでいろいろ大変なんだなと思うようになっています。

 ――岡山は同期が6人

 柏野 仲間でありライバル。みんなで切磋琢磨して頑張っていければと思います。

 ☆かしの・けんご 2002年12月12日生まれ、岡山県出身。172センチ、72キロ。師匠は三宅達也(79期)。