四日市競輪ナイターFⅡ「21pro杯中京スポーツ賞 スマートリレー」は27日、最終日を行った。12R決勝は昼田達哉の逃げに乗った吉本哲郎(44=広島)が抜け出し、今年2回目の優勝を手にした。
明るく熱血で、それでいてスマートな男が四日市の夜に吠えた。「やっちまった!と」――。昼田が力強く風を切ると「準決の感じで車間を切って」援護態勢に入った。ラインで上位独占が眼前に迫ったものの「昼田君が思ったより踏み直せなかったみたいで…」。後続の進みに気づくのも遅れ、顔面蒼白で「抜かれたと思った」と振り返る。
しかし、敢闘門で迎えてくれた仲間がかけてくれた言葉は「おめでとう」だった。
初日特選は自力で仕掛けて3着だったため「前が頑張ってくれてこそ、ラインの大切さを改めて感じました」と神妙に話した。競輪への熱い思いから、慕う選手は多く、数多くの弟子もいる。病魔に襲われたこともあったが「またS級に戻って活躍することが目標」と前を向く。
人間ドラマの塊、それが吉本哲郎という男。競輪という、ラインという人間模様がつなぐスマートリレーの夜が似合っていた。