「第72回全日本プロ選手権自転車競技大会」が26日、青森競輪場で行われた。1kmタイムトライアルの決勝に挑んだ新田祐大(39=福島)は1分03秒384の好タイムを記録し、菊池岳仁(24=長野)を破って優勝。0秒242の僅差で菊池に敗れ2位に終わった昨年のリベンジを果たした。

 現在は本人による自粛期間のため、25日に古性優作の優勝で幕を閉じた前哨戦の全プロ記念競輪には出場しておらず、今回は競技のみの参戦。久しぶりの晴れの場に燃えないわけがなかった。当面のライバルは同競技で2023、24年と連覇中の菊池。2年連続して大会記録を塗り替えている新王者を相手にあらゆる手を尽くし、菊池の3連覇を食い止めた。

「風の強さやバンクを確かめて、普段はしませんがギアと前輪を直前に変えた。前走のタイムを見てここで踏み上がるとか回そうとかイメージして走れました」と、これまでの経験を総動員して成し遂げた華麗なる〝復権〟となった。

 レースをひとしきり振り返ると、ふいに競輪界に衝撃を与えた〝あの話〟にも言及した。

「平原(康多)さんの引退には驚きました。深谷(知広)のSNSで知って深夜に動揺してしまった。(平原は)競輪と五輪の両方を目指していた自分を陰ながら応援してくれていました。走り方を認めてくれたおかげで自分にもプライドが芽生え、責任感を持って挑み続けることができた。大きな背中を見せていただきました」。

 翌日には平原氏に連絡を取ったことも明かし、かつての好敵手に心の底から感謝していた。