福井競輪FⅠ「市田佳寿浩カップ」は2日、開幕する。メインの12R初日特選に出走する伊藤旭(25=熊本)は〝思い出の地〟からの巻き返しを誓った。

 直前の全プロ(青森)では2日目に後藤大輝を利して約3か月ぶりとなる1着をゲットしたものの、近況はグレードレース中心とはいえ不完全燃焼が続いている。「最近はダメですね。レースが詰まっていることもあって練習が足りていない」と言う。

 ただ、嘆いてばかりもいられない。「来年2月に地元の熊本で開催されるGⅠ全日本選抜の選考期間が始まりましたからね。しっかり結果を残したい」。明確な目標があることで、心は奮い立っている。

 ホームバンクは2016年4月の熊本地震で被災。8年間の休止期間を経て、リニューアルした上でようやく昨年7月に再開した。熊本でGⅠが開催されるのは12年2月の日本選手権以来。20年デビューの伊藤にとって未体験の地元GⅠは最高の発奮材料だ。

 福井を走るのは22年7月以来で約3年ぶり。そのGⅢ「不死鳥杯」は初日から3着、3着で勝ち上がるも「大雨で準決が中止になって抽選で決勝に進めなかったんですよ。そう言えばS級に上がって一発目(21年5月)もここで、そのときは前で後ろばかり見ていてレース後に指導員室で中止されて…。福井の思い出は、そんなのばかりです(苦笑い)」。〝予期せぬ何か〟が起こる当地で完全復調への第一歩を踏み出す。