別府競輪GⅢ「開設75周年記念 オランダ王国友好杯」は5~8日、ナイターで開催される。新山響平、岩本俊介のS班選手をはじめ、全国の強豪が湯の街に集結。九州勢は小岩大介、昨年の「74周年」覇者・阿部将大ら地元勢を中心に他地区の実力者を迎え撃つ。最終日にはS級2班への特別昇級をかけたレインボーカップA級ファイナルも行われ、熱戦、好配当に〝湧く〟4日間だ。

 北日本のS班戦士・新山響平が主役を務める。5月名古屋GⅠ日本選手権は果敢な走りで決勝に進出。頂上決戦でも〝代名詞〟の突っ張り先行でレースを支配した。真杉匠―吉田拓矢の関東勢にまくられはしたがインパクトは抜群だった。

 援軍には日本選手権決勝で連係した菅田壱道に、当地は2021年「71周年」、2023年「73周年」と大会連覇(※「72周年」はGⅡウィナーズカップ)の守沢太志がいて心強い。攻めの走りを貫き次走の岸和田GⅠ高松宮記念杯に弾みを付ける4日間にする。

 S班1年生の岩本俊介は「地位が人を作る」の言葉がピッタリ。ビッグ戦線では3月伊東GⅡウィナーズカップと日本選手権でファイナリストになった。41歳の奮闘する姿は競輪を愛するファンに感動と勇気を与えている。

 南関の精神的支柱でもある深谷知広とのセットもなじんできた。ここでも「あ・うん」の呼吸が見られそう。深谷は日本選手権の前に体調を崩し本調子とはいえない中でも平塚記念、青森全プロ記念と5月の3場所を乗り切った。入魂の走りで仲間を鼓舞する姿は胸アツだ。各地で旋風起こす神奈川軍団の松谷秀幸も与えられた位置で仕事をきっちりこなす。

 犬伏湧也、松浦悠士の欠場で大幅に戦力ダウンの中四国は佐々木豪の奮起に期待がかかる。青森全プロ記念の初日には先行で山口拳矢を不発にしており直前の気配は悪くない。関東では坂井洋。まくりのスピードはトップクラスでツボにはまれば主力をまとめて負かすだけの破壊力を秘める。あとは仕掛けの思い切りだけだろう。中部唯一の1班・皿屋豊は、連係実績豊富な近畿勢のアシストも得ながら上位進出を狙うことになる。

 栄華を極める近畿は寺崎浩平、窓場千加頼の大砲2人がエントリー。寺崎は日本選手権が準決止まりで、昨年10月弥彦GⅠ寬仁親王牌から始まったビッグ連続優出は4で途切れたが、次代の近畿を背負って立つ男の評価はうなぎ上り。なぜか記念優勝がなく毎度ながらも〝今度こそ〟だ。

 窓場は昨年12月佐世保で寺崎より先に記念ウイナーの仲間入り。地元地区のGⅠ高松宮記念杯を前に〝土産〟を手にしたいのは窓場も同じだ。2019年当地GⅡサマーマイトフェスティバルVの村上博幸と競走得点113点オーバーと〝最強〟の2班レーサー・村田雅一が2人をバックアップする。

 九州は昨年の「74周年」で大分勢23年ぶりのチャンピオンになった阿部将大が大会連覇に挑む。低空飛行が続いていたが、4月武雄ミッドGⅢでポジションを変更したのが正解で大一番に何とか間に合った。

 地元のガッツマーカー・小岩大介はケガからの復帰戦もベストナインを目標に執念を燃やす。自転車競技日本代表の山崎賢人は地元地区で気合も入る。ワールドクラスの脚で九州をけん引し、大暴れする。

 勢力面では他地区に劣る関東と中部は坂井洋と皿屋豊を大将役に何とか一矢報いたい。

【レインボーカップA級ファイナル見どころ】

 全員が来期7月からのS級が決定。今期失格している大西貴晃は失格点のマイナス3点を引いてもS級点にはゆとりがあるため、今回は〝恒例〟の勝負駆けはなさそう。

 A級ナンバーワンの称号をかけた戦いは川口雄太に注目したい。失格でA級に降格した今期は優勝6回(4月高知のアドバンス含む)と活躍。今期を「意外と短かった。半年間は勉強と思って頑張ってきたけど、まだまだでした」と振り返り「レインボー(カップ)は優勝できれば」と気負わずに臨む。別府の印象は「大物食いをしている場所」と、穴党ファンを何度も喜ばせてきた。

 4人ずつの九州と北日本の動向が読めないが、単騎戦は苦にしないタイプ。競輪IQの高さを生かした自在走法でハイレベルな混戦を攻略する。