玉野競輪場でナイターGⅡ「第21回サマーナイトフェスティバル」(優勝賞金3100万円※副賞込み)が18~21日に開催される。〝真夏の祭典〟が地元で行われることに燃えているのは取鳥雄吾(30=岡山)だ。これまで大きな果実こそつかめていないが、地元で…のチャンスだ。3日制から4日制に変わるハードなシリーズを、中四国の仲間たちと戦い抜く。

〝永遠の若手〟はもう30歳。7月に選手生活11年目に突入した。ブレークはとっくのとうに果たし、今はさらなる高みを目指してもがき、あがいている。

 持ち味は愚直なまでの自力勝負だ。ツボにはまればめっぽう強いが展開を逃すとあっけなく敗れる、そんなもろさが同居し、俗にいう〝ピンピンビラピン〟と呼ばれるタイプ。一発屋の感があり一見スラングにも聞こえるが、どんなタイプにも果敢にアタックする取鳥のような選手への〝称号〟ともいえる。

「天才じゃなくても努力して泥臭くやっていけばGⅠまで行ける。(太田)海也や犬伏(湧也)を見ていると何か現実感がないじゃないですか(笑い)。僕は高校時代にスポーツをしてこなかったけど、コツコツやれば誰でも僕ぐらいにはなれる」と、実直に積み上げてきたものには自負があり、根気強さはレースにもにじむ。

 6月岸和田GⅠ高松宮記念杯では一次予選1で古性優作を相手に堂々と先行して桑原大志とワンツーを決めたが、一次予選2は本線を担うも仕掛けあぐねて不発に終わった。「1走目は当たって砕けろの気持ちでうまくいったけど、2走目は冷静になりすぎました。不器用なりにやってここまできたのに、ああいうところで取りこぼすのが…。どんな状況でも、挑戦者としてがむしゃらに走るのが自分なのに」と勝ちたい気持ちが先立つあまり、典型的な負けパターンを繰り返し悔しがった。

 理想を追い求める一方で、これからは柔軟性を示さねばならない。中四国地区は太田と犬伏を中心に若手の台頭が目覚ましく、トップに松浦悠士と清水裕友が君臨し小倉竜二、岩津裕介、香川雄介、桑原大志といったベテランたちが脇を固める。取鳥はいわば〝中間管理職〟的な立場にあり、多くを求められるからだ。

「まだ若手のつもりなんですけどね(笑い)。でも、松さん(松浦)と清水が同じ方向を向いているのは追従する僕らからすると助かります。今の流れに乗り遅れたら当分チャンスはないと思っているし、みんなで良いところを回していければ。競走では課題も多いけど、いい刺激になっています」

 刺激と言えば同期の存在もだ。新山響平と吉田拓矢、タイトルホルダー2人の背中がまばゆく映る。

「GⅢも取っていないし2人に比べたら僕は何も成し遂げていない。でも2人のいいとこ取りを目指しています。新山さんの圧倒的な脚力とヨシタクの万能さ。足して2で割ったような選手になりたいんですよ」

 さあ、いよいよ地元の大一番がやってくる。取鳥にとっては初の地元ビッグ参戦とあっていつも以上に気合が入る。

「ビッグは常に支線扱いだろうし挑戦者の立場を貫ける。絶対に勝ち上がらなきゃってプレッシャーのかかる記念よりは走りやすいかな。今年は記念もないし目立ちたいですね。地元のファンに愛想を尽かされたら、おしまいだから(笑い)」

 地元の人気を背負って立つ取鳥雄吾の熱くて長い4日間が始まろうとしている。

 ☆とっとり・ゆうご 1995年1月17日生まれ、岡山県出身。169・3センチ、71・8キロ。〝瀬戸のサンダーバード〟と呼ばれ、快活なタテ攻撃でトップクラスで活躍している。取鳥敬一(岡山=69期)は父であり師匠。

【大会概要】サマーナイトフェスティバルは2005年に創設され川崎競輪場で第1回を行った。2005~2014年までは2日制、2015~2024年までは3日制で実施され、今年からは4日制に変更される。これにより初日は特選3個レースと一次予選9個レース、2日目は優秀「アルタイル賞」と二次予選AとBがそれぞれ3個レースとなった。当大会は真夏の祭典として親しまれ、優勝者は〝夜王〟と呼ばれる。