「KEIRINグランプリ2023」(V賞金1億3700万円・副賞含む)が30日、東京都・立川競輪場で行われ、松浦悠士(33=広島)が直線を猛然と突き抜けて優勝。5回目の挑戦にして初のGP制覇を達成した。
年間獲得賞金を2億5270万7900円とし、賞金王に輝いた。なお、3日間の総売り上げは140億万円超で目標の135億円をクリアした。
勝負の3番車は、真っ赤に染まるカープカラー。赤パンツを身にまとった広島の大エースが熱戦を制すると、夕暮れの聖地は大歓声に湧いた。5回目の挑戦にしての大願成就に「今回、優勝できなければもう取れないと思った」と表彰式で男泣き。達成感に血がたぎり、頬を伝う涙は心地良かった。
レースは難しい判断を強いられた。清水裕友マークから切り替えたプレーは「(2角で清水が)浮いたのが見えたので(以前に)待って失敗があったから、早いと思ったけど切り替えた」と勝負どころと踏んでシビアに立ち回り、まくった深谷知広を捕まえた。
今年は8月西武園GⅠオールスターで落車し左肩甲骨、左鎖骨を骨折してしまい、GⅡ2回(ウィナーズカップ、サマーナイトフェスティバル)の優勝はあったものの試練の1年だった。
しかも前回の別府記念では決勝で落車。加えて直前に「喉を痛めた」と扁桃腺を腫らし、大一番の前に赤信号がともったが「苦しかったけど、最後に笑顔で終われた」と血のにじむ努力が実り、安どから頬を赤らめた。
来年は1番車のユニホームで競輪界を背負って立つ。目標はまだまだ気高く闘争心に満ちている。「(グランドスラムまで)あとタイトルを3つ取りたい。それに(GⅡでまた優勝していない)共同通信社杯も取りたい!」と飽くなき追求はまだまだ続く。
コイの滝登りのごとく若手が割拠する中四国軍団の司令塔として、カープ旋風を巻き起こす。