四日市競輪のナイターGⅢ「泗水杯争奪戦」が7日に開幕する。パリ五輪日本代表の中野慎詞(25=岩手)は、世界選手権、函館FⅠを経て、今年初めて国内のグレードレースに参加する。

 先月デンマークで行われた世界選手権は、山崎賢人(31=長崎)がケイリンで日本人37年ぶりの金メダルを獲得し話題をさらった。パリ五輪ケイリンでは決勝まで進んだ中野だったが、この大会は準決勝で敗退。ただ、順位決定(7―12位)では〝世界最強〟との呼び声高いハリー・ラブレイセンを倒して1着入線を果たしたのだった。

「レースは(初手は)自分が中団、ラブレイセンは5番手でした。位置を取るために一度前に出て、すかさず来た他の選手を受けてからは、後ろのラブレイセンを警戒しつつ、最後は自分のタイミングで仕掛けました。うまくいった部分もあるけど、濃いレース、力勝負ができて先着できたので、収穫はあったと思います」

 ラブレイセンに勝つということは、すなわち世界一が見えるということ。メダルには届かなかったが、中野にとっては大きな手応えをつかんだ貴重な大会となった。

 帰国後は函館FⅠ(28~30日)に出場し、堂々の完全V。「本当は共同通信社杯から復帰したかったけど、ジェイソン(コーチ)から『無理する必要はない』と言われてしまったので。久々のレースで力を出し切れたし、何より楽しかった。走れる喜びが大きかったです」と振り返った。

 現在はナショナルチームの活動がオフということで「直前は新山響平さんや仲のいい同学年の星野洋輝と一緒に、鉄のフレームに乗って外の400バンクで練習しました。なんか競輪選手になった感じですね(笑い)」と笑顔で調整過程を明かす。

 9車立ては昨年末のヤングGP以来とあって「考えて走りたい」。ライン4車の先頭になった初日11Rで、世界クラスの豪脚を見せつける。