川崎競輪ナイターFⅠが15日、開幕する。最大の注目は今開催がS級デビュー戦となる125期の山崎歩夢(20=福島)だ。通算400勝にリーチをかけている岡村潤を背に臨む初日10Rに向けて「出し切るレースをしたい」と力を込めた。
父はGⅠで9回の優勝を誇る芳仁。今年も3月の前橋GⅢで優勝を飾るなど第一線で活躍し続けるレーサーだ。デビュー前から注目を集めていた輪界屈指のサラブレッドは父の盟友で今開催に参加している成田和也に「強い山崎にスピードが付いた感じ」と言わしめるほど高いポテンシャルを誇る。
1月奈良からの18連勝でチャレンジから一気にS級まで駆け上がってきたが、決して順風満帆だったわけではない。本デビュー初戦となった昨年7月の地元いわき平では初日に先頭誘導員早期追い抜きで失格し、約4か月を棒に振った。復帰後は1着を量産するも、昨年最後の競走となった12月取手の決勝では斜行で失格。それでも下を向くことはなかった。
「いろいろありましたけど、一走一走、力をつけられるように走ってきました。足りないもの、負けて分かったこともあります」。紆余曲折を経たからこそ、脚力以外の大切なことも身につけることができた。
当地はチャレンジ時代の昨年11月に完全Vと相性もいい。特別昇級を決めた4月取手からの中19日は父や比佐宝太らと街道練習メインで汗を流してきた。「今回は楽しみ」と胸を躍らせる歩夢が偉大な父と同じステージで新たな一歩を踏み出す。