123、124期の新人選手を紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」。今回は高校時代はラガーマンだった桜木雄太(23=福岡)に焦点を当てる。冷静さを保ちながら、時に情熱的な決断もする姿には大物感も漂っている。
時代は2015年。当時、中学3年生だった桜木の目に映ったのはラグビーワールドカップで活躍する日本代表、そして流行語にもなった五郎丸歩の姿だった。これが高校進学後に自身がラグビーに打ち込むキッカケなったことに「なんか、流行っていたので(笑い)。勧められたのもあったんですけど、ミーハーな感じになってしまいましたね」。
激しくぶつかり合うスポーツでもちゅうちょはない。気になればあっさり始める行動力の持ち主だ。ポジションは「ウイングとフランカーでしたね。(ナンバー)エイトとかもやってましたよ。今より体も大きくて90キロくらいあったので」。この時に培われた体力が現在の礎となっている。
ここから競輪への転身は「お父さんが競輪が好きだったのもあって、勧められましたね。(自身は)高校3年生まで競輪選手という職業は知らなかったんですけど。パッと見てパッと決めた感じですかね(笑い)」。ラグビーを選んだ時と同様に瞬発的に未来を見定めた。とはいえ、選手を目指すなら現役選手からのアドバイスは必至。
「高校の1個下の子に礒田義則(熊本)さんの娘さんがいて、礒田さんが藤田剣次(福岡)さんと仲がいいということで、藤田さんや久留米競輪場を紹介してもらいました」
本人も「運良く」と振り返るほどの巡り合わせの結果、自転車に転向して3年目で養成所に合格。周囲は若さを謳歌している中での3年間だったが「お金がないというのは苦だったけど、嫌なことをやっているわけではなかったので」。将来を見据えて今を積み重ねていった。
プロスポーツ選手になったと実感する瞬間は「SNSで悪口とか書かれると〝競輪選手になったんだな~〟と思います(笑い)」。それでも、〝悪意〟を意識することなくスルーできる現代社会の必須スキルを発動させている。
デビューから今までのプロ人生について「ヒリつくことは好きなので」と充実の表情で話す姿は大物感すら漂う。短期的には「ケガすることなくS級に上がりたいですね。落車はアマチュアの時に1回だけ経験しているけど、その時は骨折とかはなかったので」。何かのタイトルではなく、〝ケガ〟をしないことを挙げる点にも堅実さがうかがえた。
現役選手の中でカッコいいと思えるのは「北津留翼さんですね」と即答。「まくりのあのスピードはすごいなと思います。人も良さそうな感じですよね」。憧れは五郎丸から北津留に変わった新星は、3月8日開幕の名古屋でA級1・2班への特別昇班を狙う。
Q&A
――趣味は
桜木 いろんな選手に誘われてマージャン打ったり、ボートレースにも行ったりしてますよ。
――好きな有名人
桜木 永野芽郁さんです! 最近はK―popのNewJeansにもハマってます
――食べ物の好みは
桜木 唐揚げですね。唐揚げをおいしくつくれる人と結婚したいです。
――賞金がたまったら何に使いたい
桜木 今のところ考えていないし、とりあえずためてやりたいことが見つかった時に使えれば、と思ってます。
――自身をアピール
桜木 1回は見どころをつくれる選手になれれば。(お客さんが車券を)外れても納得いくレースをしたいです。
☆さくらぎ・ゆうた 2000年10月18日生まれ、福岡県出身。172センチ、78キロ。師匠は田中弘章(68期)。