125期、126期のルーキーを取り上げる「Challenge! 新人競輪選手紹介」の今回は126期ナンバーワンの仲沢春香(23=福井)が登場。ガールズの勢力図に風穴を開けるだけでなく、将来のジャパンのエースへ…。可能性は無限に広がっている。
久々にすごい新人が現れた。本デビュー初戦の7月豊橋で百戦錬磨の実力者を相手に見せた快走は、スター誕生を確信させるのに十分過ぎるものだった。「メチャクチャ緊張したし、反省点もありました」という振り返りとは裏腹に、レースでは新人離れした冷静さ、大胆さも垣間見えた。
自転車のエリートではなく、ボート競技からの転身。高校での実績から将来を嘱望されたが、実業団に入社後、精神的に追い込まれ志半ばで挫折した。パリ五輪代表で今をときめく太田海也が同じボート出身ということもあり、仲沢の経歴は養成所時代から話題になっていた。
「太田さんはジュニアの時の2つ上の先輩で当時から有名でしたが、私が会社に入ったころから名前を聞かなくなって…。競輪選手になったと知ったのは、私がこの世界を志してからでした」
ガールズでは林真奈美がボート出身の先駆け。減量苦から競技断念に追い込まれ、ガールズに転向した林の道のりは、仲沢と重なる部分が多い。「林さんとお会いしたことはないんですが、いずれいろいろ話してみたいです」。挫折からはい上がった選手は強く、たくましい。仲沢の今後の活躍で、その経歴はより一層、注目されることになる。
3月の養成所卒業後、地元の福井に戻ったのは2週間ほど。現在は活動拠点を伊豆に置き、ナショナルチーム入りを目指して練習漬けの日々を送る。競技への関心も高く「いずれはスプリント、チームスプリント、ケイリンすべてで結果を出せる選手になりたい」と目を輝かせるが「その前にやることが山積み」と、突きつけられた現状とも向き合っている。
「ナショナルの人たちと比べるとベースが全く足りない。その差をレースで少しでも埋めていくことが先かなと思います」
本格的に自転車に乗り始めてわずか2年。今は経験を積み、吸収していくことが先決だが、逆に言えばその先には伸びしろしかない。太田はデビューから2年半でジャパンのエースに上り詰めた。その背中を追って仲沢も…。夢と期待は無限に広がっていく。
Q&A
――初めて手にした賞金の使い道は
仲沢 クレジット(カード)の引き落とし。生活費であっという間に消えました
――好きなものを買ったりとかは
仲沢 私、服とか全然持ってないんですよ。写真は同じTシャツで写るものばかりになるかも
――師匠(山出裕幸)から何かアドバイスは
仲沢 「ケガせず頑張れ」って。いろいろ言わない人なんですよ
☆なかざわ・はるか 2001年4月10日生まれ、福井県出身。165センチ、64キロ。師匠=山出裕幸(90期)。