静岡競輪場を舞台に熱戦が展開された「KEIRINグランプリ2024シリーズ」最終日の30日、10Rで「第17回寺内大吉記念杯」の決勝が行われ、伊藤颯馬(25=沖縄)が優勝。2024年最終走を最高の形で締めくくった。
4車結束の九州ラインで先頭を務める気持ちはあったが、10月の世界選手権(デンマーク)男子ケイリンで金メダルに輝いた山崎賢人の気迫に押される形で番手に入った。しかもレース前の作戦会議で世界王者が提示したプランは「全ツッパで行く」。さすがの颯馬も「強い気持ちがあってビックリした。ヤバッと思いましたよ」と武者震いしたという。
レースは伊藤がすんなりS取りし、九州が前受け。赤板過ぎに中部ラインを突っ張ると、2角過ぎからは世界チャンプの独壇場となった。颯馬は最終ホーム付近から車間を空け始め、松本貴治のまくりに合わせる形で最終2角付近から踏み上げ、松岡貴久を振り切ってゴール線を駆け抜けた。
当地は2021年ヤンググランプリに出場し、今年2月のGⅢでは準決進出を果たすなど「相性は悪くない」という思い出の地。「今回の賢人さんは仕上がりも良かった。僕に気を使ってくれたんじゃないですか」と言って笑ったが、いっそうの飛躍を期待される来年に向けて大きな弾みになるはずだ。
今年は別府FⅠでの2度の完全Vに加えて3月の取手GⅡウィナーズカップで優出するなど存在感を示し、欲も出てきたのだろう。颯馬は笑顔と「頑張ります」だけで終わらそうとせず「来年は記念を1本ぐらい取ってみたいですね」と意欲をのぞかせた。