127、128期の新人選手を紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」。男子の3回目は在所8位の新垣慶晃(ちかてる、24=沖縄)をピックアップ。2000年生まれのミレニアムベビーの〝うちなんちゅ〟が輪界に旋風を吹き込む。

 沖縄に将来有望なルーキーが誕生した。新垣は今春、日本競輪選手養成所を在所8位の優秀な成績で卒業。5月からのルーキーシリーズを経て、7月玉野の本デビュー戦では先輩レーサーを相手に3連勝の完全Vと華々しい船出を飾った。

 バドミントンに熱中していた高校時代に「走るのが苦手だった」新垣が持久力アップのトレーニングに使用していたのが自転車だった。ママチャリを漕ぎながら「自転車で競う競技があったらいいのになあ」と思っていたら、偶然にも自転車最高峰ロードレース「ツール・ド・フランス」の特集を目にして自転車のトリコになった。

 当時、高校に自転車競技部はなかったが「後輩の女の子に競技の経験者がいて自転車部ができた」という幸運も重なって、高校最後の1年はバドミントンと自転車の〝二刀流〟で青春を謳歌した。

 進学した鹿屋体育大では自転車競技に本腰を入れた。将来像に競輪選手が浮かんできたのもこのころで「ロードレーサーになることを目指していたが、競技をしていく中で自分の適性が短距離にもあるんじゃないか」。素質を先に見抜いていた高校時代の指導者や先輩たちの勧めもあり、2度目の受験で日本競輪選手養成所の門をくぐった。

 養成所の生活は「実りある一年間だった」と振り返る。「中距離の選手だったのでダッシュ力に課題があった。ダッシュ力がある人がたくさんいて、もまれながら克服できた」。養成期間中に行われた最後の記録会で成績優秀者に贈られるゴールデンキャップを獲得した。逸材揃いと評判高い127期に似つかわしい下地をつくって輪界という大海原に飛び込んだ。

 本デビュー初戦となった7月玉野では3連勝完全Vをやってのけたが、浮かれる様子はなく「競走形態の違いに戸惑って翻弄された。ライン戦は難しいと感じ、失敗もかなりした。次の場所につなげないといけない」と個の戦いではない〝競輪〟の奥深さを肌で感じた。

 かつては競輪不毛の地だった沖縄県は今では所属選手が24人(男子20人、ガールズ4人)と所帯が増えた。男子トップに君臨するのはS級1班でビッグレース常連の琉球の星・伊藤颯馬。もちろん、新垣が目標にする兄弟子だ。「颯馬さんに追い付けるように一流の選手になりたい」。2000年生まれのミレニアムベビーが夢をつかむ日はそう遠くはない。

Q&A
 ――自身のセールスポイントはどこか

 新垣 長い距離を踏んで速度を維持する持久力。粘り強い走りは他の人よりも優れているかな。

 ――賞金の使い道は

 新垣 まだ使っていないけど、家族に恩返ししたいので食事に連れて行きたいです。

 ――趣味は

 新垣 釣りです。無心で釣りだけに没頭できるのでリフレッシュになります。

 ――最後に沖縄のおススメを

 新垣 ご飯ですね。沖縄そばは、どこ行ってもおいしいですよ。

☆あらかき・ちかてる 2000年11月16日生まれ、沖縄県出身。175センチ、78キロ。師匠は仲松勝太(96期)