川崎競輪FⅠ「報知新聞社杯争奪戦」が28日に開幕し、10R予選では志智俊夫(52=岐阜)が前を託した福永大智との直線勝負を制して1着で準決進出を決めた。初日の白星は意外にも2月いわき平以来で「福永君が無理やり行ってくれたおかげ。調子が悪くて、そもそも1着が久しぶり。勝てることが分かって良かった」と安どの表情を浮かべた。

 7月の小松島記念で2連勝フィニッシュしたのを最後に1着から遠ざかっていた。しかも次走は中3日で地元の岐阜GⅢ「長良川鵜飼カップ」が控える。53日ぶりの1着で「前検日(27日)には不安もあったけど、レースでは走れた」ことは精神面でも何よりのプラス材料だろう。

 次走は「ライバル」とも顔を合わせる。同世代でS級最年長優勝記録保持者の内藤宣彦(54=秋田)の活躍は「何より強いし、励みになる」という。実際に内藤が今年2月の岐阜で優勝して自身の持つ記録を更新すると、刺激を受けた志智も約1か月後の3月松阪で2023年12月別府以来の優勝を果たした。

 地元記念に向けて残された時間はわずか。それでも通算626勝のベテランは「一つひとつ積み重ねていく」と慌てることなく準備を着々と進めていく。