福井競輪GⅡ「第41回共同通信社杯競輪」が12日、開幕する。11日の前検日、佐藤慎太郎(48=福島)は取材ゾーンの隅に置いてある古ぼけた自転車に語りかけた。
「おい、タイチ、また頼むぞ! まだ頑張れるから!」
ビッグレースの常連である小松崎大地が今回はいない。ケガにも苦しんでいる戦友の姿をたたずむ自転車に重ね、声をかけたのだ。「壊れても直して、長く大切に使うとか、大事なんだよね」。それは自分自身にも向けられた言葉のよう…。
11月には49歳になる。しかも今年は1月に骨盤骨折という選手生命が危ぶまれる大ケガに見舞われた。だが立ち直った。現在は「先のことは見えないし、目の前のことだけを考えているよ」と、日々肉体と向き合いながら少しでも前進をともくろんでいる。
ファンの声が聞こえる。どんなレースでも、勝ち上がりを逃した敗者戦でも、熱い声援が送られ胸にしみている。一次予選10Rも自動番組とはいえ坂井洋の番手がある構成で「五日市(誠)もいるし、ラインでしっかり戦えるように」と集中あるのみ。
夏の熱気が残る福井競輪場には、多くのファンが集まるだろう。みんなの思いを背負い、一戦一戦、勝ち上がっていく。