前橋競輪GⅠ「第34回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」は25日に3日目を開催。準決12Rでは、大ベテラン小倉竜二(49=徳島)が松本貴治に続いての2着で、約6年ぶりのGⅠ決勝進出を決めた。

 2019年岸和田高松宮記念杯以来となるGⅠファイナルの舞台に帰ってきた。レース後、共同会見場に姿を現すなり「予想外ですねぇ…。最終日は特選ぐらいを走ると思っていたから」と真顔で一言。会見場は笑いが起こり、本人も実感が湧かないようだった。それでも長らく特別戦線を戦い続けてきた男には、オトナの余裕が漂う。

 決勝メンバーが決まると迷わず「四国3番手」とコメントした。確かに準決は松本貴治に任せたが、先頭は弟子の犬伏湧也。絶好の位置を何のためらいもなく渡すのは、小倉の競輪観を象徴している。「今までの実績を見ても松本が番手。見習い弟子の後ろは任せる。どっちかにGⅠチャンプになってほしい」と期待した。

 自分のチャンスよりも後輩の未来を優先させる。自己犠牲をいとわぬ姿勢は、追い込み選手としての性だ。もちろん愛弟子への親心もある。番手では強烈ダッシュに口が空く恐れもあり、ラインが乱れる可能性も。その分、松本なら追走テクには問題なく、リードを外した犬伏はノビノビと駆けられる。酸いも甘いもかみ分けたラインの〝番人〟が久々の大舞台でどう立ち回るか、今から楽しみだ。