新潟県・弥彦競輪場のGⅠ「第32回寬仁親王牌 世界選手権記念トーナメント」(優勝賞金3890万円=副賞含む)は21日、3日目を迎える。準決3個レースがこの日のメイン。10Rでは復調してきた寡黙な仕事人・成田和也(44=福島)に注目だ。

 急復活の古武士がチャンスをつかむ。重度の腰のヘルニアに苦しみ、9月青森GⅡ共同通信社杯で復帰してからも、厳しい戦いを強いられてきた。だが「初日(19日)に走って、思ったよりもいい感じでした」と笑顔。復活の要因を静かに語る。

「選手はみんなどこかを痛めていて、その中で走っていますからね。ヘルニアになった人も多いし、経験した人から話を聞いて、自分の治療にも役立てることができました」

 ケガを言い訳にする選手はいない。肩甲骨骨折の松浦悠士(32=広島)も「ケガに負けたら、そこで負けですから」と言い切る。競輪選手たちはみな切磋琢磨し、普段は敵として戦っていても、お互いに尊敬の念は忘れない。

 準決10Rは新山響平(29=青森)―佐藤慎太郎(46=福島)の3番手。相手は強力でも決勝進出のチャンスはある。

「10月に入って痛みが解消してきて、まだまだではありますけど、練習もできてきたので」

 新山の先行力は言うまでもなく、佐藤のさばきも峻烈。成田が3番手を固める布陣なら、北日本上位独占でもおかしくはない。