京王閣競輪ナイターGⅢ「開設74周年記念 ゴールドカップレース」が28日、開幕する。12R初日特選で注目は平原康多(41=埼玉)。関東の大黒柱が復活のシリーズとする。

 令和枯れすすきなのか――。41歳の傷ついた戦士はイスにどっかりと腰掛け「もう、枯れ果ててますよ」とこぼした。力の限り、走ってきた。未練などない。11年連続14回目のグランプリ出場をかけて、などとは口にしない。

 前回弥彦のGⅠ寬仁親王牌では「初日は良かったんですよ」も2日目以降、失速してしまった。3日目準決では「打鐘のところでバックを踏んで腰にきたんです…」と負傷も負った。

 ただし、脚のしびれは解消し、その後は今回に向けて整えてきた。しかし、また…。「真杉(匠)のことは〝宮本武蔵〟と呼んでください。遅めに来て、俺をじらすんです」。前検日にのんびり到着の真杉は「きょ、きょうは早めだったんですが」と苦笑い。いつものいじり合いは、意思疎通の賜物だ。

 苦しさに負けず、世間に負けず、自分との戦いに勝ち続けてきた。そして、ラインを助けてきた男の周りにあるのは、今も真っ盛りの深緑。関東大森林の真ん中に一本立ちは、平原康多。今節は久しぶりに主役の花を咲かせる。