競輪の新人選手を紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」の今回は125期の超注目の男を取り上げる。藤井優希はスターになるために生まれ、Bigになるために競輪選手になった。

「Bigになります! Big Man!」

 憧れはプロ野球の大スターで日本ハムファイターズの監督を務める新庄剛志だ。「Bigな方ですよね」。人々を引きつける生きざまを追いかけ、自分も「Bigになって、競輪界を盛り上げます!」とポーズを決める。みんなを引っ張る125期の自治会長でもある。

 少々、お騒がせなキャラでもあるが、それはスター性の裏返し。5月31日、ルーキーシリーズの松山初日予選1で失格してしまった。「すみません…。でも絶対、Bigになりますんで!」と潤んだ瞳で帰路に就いたものだが、背筋はピシっと伸びていた。

 師匠は6月岸和田GⅠ高松宮記念杯で決勝進出したベテラン・桑原大志だ。藤井について「選手になれただけでもうれしいんですけどね」と温かい目で見守っている。失格については「動きとしては…と思いました。落ち込んでいたけど」も、これからもそうした場面は何度もあるから、と励ましたという。長く選手を続け、その苦しみ、つらさを知り抜いているからこそ、藤井の戦いへのエールには重みがあった。

 実際、失格した動きのひとつ前の動作。他の選手をブロックして飛ばした動きは丁寧で、競輪選手として戦える片鱗を見せたものだった。7月本デビュー(奈良、13~15日)からは自力での戦いがメインであっても、食らいつき、あきらめない走りで上位進出を狙っていく。

 花は桜木
 男は藤井

 ラグビーで鍛えた肉体は可能性だけを秘める。一心不乱に師匠の指導を仰ぎ、実力を付けていく。桑原は5月高知の全プロ競技大会で1キロメートルタイムトライアルを走り、1分8秒台で駆け抜けた。「俺の師匠です」。憧れ、尊敬する師匠の前で戦い、喜んでもらえるように、ファンにその走りを届けられるように――。

【Q&A】
――スーツのネームのところに

 藤井「Big Man!」と刺しゅうを入れています。

――袖のボタンが多いですね

 藤井 6つあります。えっ、なぜかって。それは、GⅠが6つあるからです! Big Man!

――最後にひと言
 藤井 Bigになります! Big Man!

☆ふじい・ゆうき 1998年12月24日生まれ、山口県出身。173センチ、78キロ。師匠=桑原大志(80期)。