松阪競輪の「ウィンチケットミッドナイトGⅢ」は10日に最終日を迎え、9RのS級決勝は立部楓真の番手から抜け出した吉本卓仁(41=福岡)がうれしいGⅢ初優勝。8Rのガールズ決勝は酒井亜樹(23=大阪)が豪快なまくりを決めて完全Vを飾った。
ついに九州の功労者に勝利の女神がほほ笑んだ。後ろを固めた岩津裕介が半ば強引にSを取ると、立部が突っ張り先行。前後の頑張りに「気合が入った」。小原太樹の追い上げをしのぐと「後ろから抜かれるわけにはいかないし最後は踏ませてもらった」と千載一遇のチャンスをモノにした。
九州の貴重な自力選手として長らく第一線で活躍し後ろの選手を何度も優勝に導いてきたが、自身が恵まれる機会はこれまでなかった。
とうとうつかんだ今回のGⅢ優勝だったが、意外にも笑顔はなく「今まで何回も取り損ねてきたし、正直、自力で取りたかった」とこぼした。そして「次は9車立ての記念を取りたい。さすがに自力でというのは厳しいと思うので、ヨコを覚えて後輩の後ろで仕事をしながら(チャンスを)待ちたい」と力強い言葉で締めた。