松戸競輪ナイターFⅠ「ベルハンマーカップ」は26日、開幕する。小倉GⅠ競輪祭の決勝から一夜明けた25日の前日検査で、誰よりもテンション高めだったのが12R初日特選スタートの桜井正孝(38=宮城)だった。

 競輪祭を制した弟弟子の阿部拓真。大一番をライブ映像で見ていたという桜井は「優勝するんじゃないかなあ」と予感していたというが、それが現実となり「さすがに驚きましたよ。だって105点の選手ですよ。ワケが分からんでしょ。でも感動しましたね」と勝った本人と同様に夢見心地だったようだ。

 忙しいとは知りつつ祝福のメッセージを送り、返信があったのは25日の早朝6時。「律義ですよね。お祝いのラインとかたくさん届いていただろうに。明け方まで祝勝会で盛り上がって、ひと段落したところで一つひとつ丁寧に返信したのでしょう」と健気な弟弟子を思いやった。

 阿部のタイトル奪取にツキの要素が多分にあったのは事実だが、それを引き寄せた背景には豊富な練習量があった。「タイトルを取ったからと言って何かが急に変わるわけではない。逆に何かをしたからタイトルが取れたというものでもない。やはりコツコツと、できることを続けていくしかない」(桜井)と、改めて〝当たり前〟のことの大切さを再認識させられた。

 自身の状態は万全というわけではない。「別府記念の中日ぐらいから首のヘルニアで手のしびれがある」という。しかし「これは職業病みたいなもの。うまく付き合っていくしかない」と自らに言い聞かせ、前回名古屋からの中6日は練習とケアにあてた。

 初日特選は単騎戦も視野に入れていたが、最終的に空席となっていた東矢圭吾の番手を選んだ。弟弟子の快挙に「正直、うらやましい」との思いを胸に、まだまだ上を目指す。