2025年のGⅠ最終戦「第67回競輪祭」(19~24日・優勝賞金5090万円)、ガールズGⅠ「第3回競輪祭女子王座戦」(同590万円・19~21日)が福岡県北九州市の小倉競輪場(北九州メディアドーム)を舞台にナイターで開催される。男子は輪界最高位のS級S班をはじめ、全国のトップレーサー108人が熱戦を繰り広げる。シリーズ終了後には男女ともにグランプリメンバーが決定。悲喜こもごもの〝銭闘〟にも注目だ。
近畿勢がシリーズを引っ張る。大黒柱の古性優作は今年GⅠ無冠も5月名古屋日本選手権、6月岸和田高松宮記念杯、8月函館オールスター、10月前橋寬仁親王牌で表彰台に上がり、賞金ランキングは堂々のトップ。連覇を目指すグランプリの出場に青信号が灯った。7月玉野GⅡサマーナイトフェスティバルの落車で負傷し、順風とはいかずも卓越したハンドルワークは〝芸術〟の域に達する。最強オールラウンダーが競輪祭初制覇へ突き進む。
脇本雄太が欠場したとはいえ、近畿は上位陣の層が厚い。寺崎浩平に切り込み隊長の期待がかかる。今年はオールスターでタイトルホルダーの仲間入りと大きく飛躍。競輪祭は昨年も優出し、ドームとの肌合いも悪くない。いぶし銀マーカーの南修二は、9月福井GⅡ共同通信社杯を制して賞金7位。初のGP切符もほぼ手中に収めている。
関東勢が対抗勢力だ。真杉匠と吉田拓矢の若きレーサーが、大車輪となって仲間を鼓舞している。真杉は日本選手権で準優勝と、サマーナイトFで優勝の高額賞金をゲットして賞金5位。吉田は日本選手権で真杉のまくりを差して〝ダービー王〟の称号を得てS班返り咲きも確実にした。ゴールデンコンビが「あ・うん」の呼吸で他派を圧倒する。
戦力は南関勢も負けていない。郡司浩平はGⅠで2回の失格を喫したものの、GⅢは6Vと勝ちまくり賞金6位。多彩な攻めを繰り出しレースを支配する。深谷知広は賞金9位と徳俵に足がかかっているが、真摯に競輪に向き合ってきた男に仲間がサポートを惜しまない。死力を尽くして女神を振り向かせる。〝中年の星〟岩本俊介はS班の責務をまっとうした。もうひと花を咲かせられるか?
中四国勢は清水裕友に、シーズン途中からS班に昇格した犬伏湧也と松浦悠士が主力だ。清水は来年3月に地元・防府でGⅡウィナーズカップがある。勝負駆けを実らせて、赤いパンツで晴れ舞台を迎えたいところ。松浦も今月末に広島バンクが再開するのがいいモチベーション。ケガに泣かされたシーズンを〝終わりよければ…〟で締めたい。犬伏は寬仁親王牌決勝での敗戦をバネに捲土重来を期す。昨年は脇本に次ぐ準優勝だった。狙うはもう一つ上しかない。ジャパンのエース・太田海也が彼らの〝救世主〟になる。賞金争いド真ん中の松本貴治も忘れてはならない。
嘉永泰斗の寬仁親王牌Vで意気上がる九州勢は、地元地区開催で夢をもう一度。嘉永、荒井崇博、山田兄弟(英明、庸平)に北津留翼、園田匠、小川勇介の地元トリオがねじり鉢巻きで臨む。高松宮記念杯の誘導妨害で3か月休んだ山崎賢人も、今回から戦線に復帰する。
北日本は韋駄天・新山響平がS班残留に一戦必勝の構え。日本代表の若武者・中野慎詞と同乗できれば〝鬼に金棒〟だ。中部は直前の四日市GⅢで連係した浅井康太と山口拳矢が一矢報いたい。
最後にGPの行方を。今年のGⅠ覇者は脇本、吉田、寺崎、嘉永の4人。今大会の準優勝賞金は2554万円、3位賞金が1667万円のため、賞金枠で1位・古性、5位・真杉、6位・郡司も当確ランプ。ボーダーの7位・南と9位・深谷の差は約1800万円となっている。優勝が賞金1~8位の選手なら、深谷から16位・岩本の8人で1枚の切符を争う。10位・松本以下が優勝なら、深谷は準Vがマスト。さらに上積みする南を抜けるかどうかだ。