125期、126期のルーキーを取り上げる「Challenge! 新人競輪選手紹介」。山口男子ルーキーカルテットの最年少・野村賢(20)は、小学6年生から競輪選手を目指し〝青い炎〟を燃やし続けて夢をかなえ、次のステップへと一歩を踏み出した。

 防府競輪場のある防府市の隣、周南市で少年は競輪選手を志した。「最初は小学校の6年生くらいですかね」と思い起こす。中学生になって本格的に自転車競技をスタート。するとめきめきと頭角を現し、中学在学中にはJOCジュニアオリンピックカップにも参戦した。

「目の前の課題を一つひとつクリアしていく感じでした」

 高校は誠英高に進学。同県のSS班清水裕友は先輩にあたる。ここでも全国選抜やインターハイなどで活躍を見せるなど、着々と力を付けていった。

 そこには「競輪選手になりたい」という一貫した目標があった。決して自転車競技が先ではなく「競輪選手になりたいがために自転車を始めた」とキッパリ。課題は、あくまでも夢を実現するためのものだった。

 しかし競輪選手養成所に入ってみると、思わぬ課題に直面する。「規則正しい生活がきつくて…。縛られるのが好きじゃないし、特に外出できないのがきつかった」と苦笑する。それでも「やらないといけないことは分かっている」と、必死に課題をクリアしていった。

 今年5月、ついに夢は実現。そして半年が経過。新たな課題も見つかった。「正直、最初はナメた気持ちもありました。でも思い通りに行かないのが現実。難しい」。特に7月本デビュー後は「ラインがあって、生かす競走をしようとすると失敗が許されなくなる」。

 そんな中、失格で前期S級から今期チャレンジへと降格した神山尚(栃木)と、11月の松戸決勝で連係する機会があった。「初日は別線でまくられて、決勝ではまくりになってもしっかり付いて来ていた」。上位クラスの走りを肌で感じ、気を引き締めるきっかけとなった。

 今後の目標は「S級上位で戦えるように」と話す。小学生時代から赤パンのカッコよさに憧れた。目標にする選手は「身近だと清水さん、取鳥(雄吾)さん、それに犬伏(湧也)さんも、レースですごいと思える選手」だという。それでも「大リーグの大谷翔平選手じゃないですけど、憧れるだけじゃダメ。憧れるよりも近づける存在にしないと」と力をこめる。

 そして最後に「野村、強えなあ、と言われるくらいになりたいですね」と笑った。

Q&A
 ――休日は何してる?
 野村 出かけることが多いですね。飯食べに出たり、温泉やスーパー銭湯に行ったり。
 ――スーパー銭湯?
 野村 ボーっとできる環境がいいんですよ。
 ――オンオフはっきりなんですね
 野村 家を選ぶ時もちょっと広めのところにして、自転車は別の部屋に置いてます。生活と仕事を分けたい。メリハリを付けたいんですよね。

【BIGMAN藤井優希が語る野村賢】
 同県同期の〝ビッグマン〟こと藤井優希(25)は、野村を「表には出さない一番の負けず嫌いですね。炎で言うと、赤い炎ではなくて青い炎じゃないですか」と評した。藤井もアツいが、野村には藤井以上にアツい部分が秘められているようだ。

 ☆のむら・けん 2004年1月10日生まれ。山口県出身。師匠は隅貴史(91期)。173センチ、84キロ。養成所順位は8位。温泉、サウナを好み「友人に勧められた熊本の『湯らっくす』が良かったですね」。渋い20歳だ。