武雄競輪のGⅢ「開設75周年記念 大楠賞争奪戦」が10~13日の日程で開催される。

 輪界最高位のS級S班からは岩本俊介、新山響平、真杉匠の3選手がエントリー。2月豊橋GⅠ全日本選抜準Vの寺崎浩平、昨年のパリ五輪自転車競技日本代表・太田海也らのスピードレーサーも意気揚々とやってくる。

 迎え撃つ九州勢は地元の山田庸平が中心となって外来撃破に燃えており、熱戦、好配当に沸く4日間になること間違いなしだ。

 関東の若きエース・真杉匠がシリーズをけん引する。S班2年目の今年は2月静岡記念から始動した。GⅠ開幕戦の同月豊橋全日本選抜で優出を果たして輪界最高位の責務を果たすと、3月伊東GⅡウィナーズカップでは古性優作に続いての準優勝。勝った古性が〝あっぱれ〟で最終ホームから敢然とまくり上げた真杉のスピードは出色だった。前走の高知記念から中2日の強行日程となったが、26歳の若武者に疲れは心配無用。攻撃的な走りで縦横無尽に暴れる。

 新山響平は今年序盤は苦しんだ印象も3月名古屋記念→ウィナーズカップをともに優出してエンジンがかかってきた。伊東決勝ではラスト2周から果敢に風を切ってレースの主導権を握った。まくられはしたが、新山ここにあり、と思わせるには十分の走りだった。当地のみなし直線は400バンクの競輪場では最長の64・4メートルとあって難敵が待ち構えるが、突っ張り先行をキラーカードとする北の韋駄天が疾風のごとく駆け抜ける。

 S班1年生で〝中年の星〟岩本俊介のここまでは赤パンにふさわしい活躍をしている。1月松阪、2月静岡の両記念では決勝で確定板に載るとウィナーズカップでは準決で佐々木真也のまくりに乗って差し脚を伸ばして1着奪取。深谷知広、郡司浩平の大砲と同乗していなくても結果を残したのは努力のたまもの。41歳になるバースデーシリーズも真価が問われる。

 寺崎浩平は今が旬なレーサーだ。昨年10月弥彦寬仁親王牌から同年11月小倉競輪祭、年が変わって全日本選抜とGⅠは3連続優出。全日本選抜では脇本雄太に全GⅠ&グランプリ制覇の「グランプリスラム」を譲ったが準優勝。GⅠタイトルが手の届くところまでやってきた。ウィナーズカップでも優出しており、リズムは引き続き良好。意外にもGⅢ優勝もないので初の武雄で初制覇と、初めてづくしのハッピーエンドも不思議でない。

 昨年のパリ五輪自転車競技日本代表でジャパンのエース・太田海也が世界の豪脚を披露する。2028年ロス五輪でのメダル獲得を目指し〝2足のわらじ〟で大忙しだが、今月初旬の平塚FⅠは逃げて準優勝。シンプルに力を出せる展開になれば誰よりも速い。こちらもGⅢ初制覇のチャンスだ。

 第4代グランドスラマー新田祐大が追加参戦してきた。失格による罰則で1月に続き、3月もあっせんが止まっていたためエネルギーは満タン。前走高知記念初日の落車は気がかりも、輪界屈指の爆発力で存在感を示す。仕事人・成田和也も3月が〝休み〟で今回から実戦復帰。正味のジャッジは1走終えてからだが、今後のグレード戦線を占う上でも職人芸から目が離せない。

 外来を迎え撃つ九州勢は山田英明が無念の欠場で弟・庸平に期待がかかる。昨年3月の「大阪・関西万博協賛」で地元GⅢ制覇はあるが「大楠賞」はまだないだけに、嘉永泰斗、伊藤颯馬、北津留翼と頼れる機動型を目標に決め脚を発揮したい。同じく地元1班の山口敦也も、ベストナインを目指してねじり鉢巻きだ。