これぞ「ケガの功名」か。福井競輪FⅠ「市田佳寿浩カップ」が2日に開幕し、8Rで嵯峨昇喜郎(26=青森)が1着発進した。
「人気になっていたので緊張した」というものの、突っ張られて一度引いてから打鍾過ぎで踏み上げ、最終ホーム過ぎで出切るとそのまま押し切った。
「(前に出た)中野(雄喜)さんがかかり切る前に行っちゃおう」という積極策が奏功した。いつもならまくりに構えるところで仕掛けられたのには、やむを得ぬ事情もあった。4月函館の前の練習中に落車し、両手首を痛めたことだ。
力が入った際に手首に痛みが走ることから「ダッシュには気を使う。まくりだとキツい」とは前検日にも話していた。だからこそ早めに動き「出切ってからペースで踏めた」ことが1着につながった。前回が500バンクの宇都宮で「短く感じて踏み直せる余裕もあった」という。
両手首の負傷から5場所目で分かってきたこともある。走行中の痛みを最小限に抑える工夫から「変な力みがなくなって、効率的なダッシュができるようになった」とプラスの効果も出ているようだ。
2日目(3日)は12R準決で保科千春―青森伸也を背負ってV候補筆頭の石原颯と激突する。つかみかけている新感覚で、唯一のライン3車を生かしたい。