123、124期にスポットを当てる「challenge! 新人競輪選手紹介」。今回は静岡の吉村美有紀(21)を取り上げる。5つ上の姉・早耶香を追い掛けてガールズケイリンの道へと進んだ新人レーサーの胸中に迫る。

 陸上競技に没頭していた高校時代、姉・早耶香の競輪学校(現競輪選手養成所)「卒業記念レース」に感化され選手を目指した。姉はガールズケイリンの特別戦線を走り、普通開催では争覇クラスに名を連ねるなど、上位に君臨する一流レーサーだ。美有紀にとって、その背中は大きくまばゆく映る。

「お姉ちゃんは先行を中心に戦っているし、ずっと憧れでした。デビュー当初、私も(戦法を)真似をしてみたけど足りない部分があって無理でした」

 昨年7月に地元静岡で本デビューを果たすも、初走でいきなり失格を喫するなどホロ苦いスタートとなった。さらに上位陣との力の違いを実感し、なかなか結果が伴わない。そのころ、吉村に取材をすると「こんなレースをしているとお姉ちゃんに叱られる」としきりに口にし、たじろぐ姿を多く目にした。

 ところが、10月松戸で本デビュー後初めて決勝進出を果たすと、徐々に確定板に載る回数も増えてきた。「9月ぐらいから基礎練習を重点的にしています。昨年引退された松江健一さん(72期)に指導をしていただき、どうしても行き詰まったときには師匠(村本大輔=77期・引退)にも。今は点数を上げながら、戦法を見つけている感じです」と成果が明確に見えて自信をつけたか、最近は表情も明るく心持ちも穏やかだ。

 今年はある目標を掲げモチベーションアップにつなげている。

「まだ1着を取ったことがないんです。同期の動きも意識するし早く1着が欲しい。ずっと気になっています」

 1月下旬に話していた目標を2月10日、玉野最終日に早々と達成。これからは勝ち星を増やしていく。

 選手たちにはそれぞれの長所や持ち味があり、生かし方は各人各様だ。たとえ爆発的なタテ脚はなくとも、生き抜く術はある。どうすればいいのかと悩み迷走することもあるかもしれないが、吉村には身近に頼れる相談相手がいるのが救いとなる。

「成績が悪いといつも落ち込むのですが、家に帰るとお姉ちゃんがいつも面白すぎるから気持ちが楽になります(笑い)」

 この先、進むべき正しい方向性を定めるためにも、姉妹が共闘して荒波の立つガールズ戦線をたくましく生きていく。

Q&A
――趣味は?

 家で犬とじゃれることです。3歳の雄ですが女の子が大好きで。男の人がおやつを渡しても、お前じゃない、みたいなオーラを出すのに女の子が渡すとものすごい勢いで駆け寄ってきます。

――今、ハマっていることは?

 部屋の衣替えですね。お姉ちゃんは12畳の広さなのに私の部屋は4畳半(笑い)。しかも、ものすごく冷えて寒いんです。母親が冷蔵庫代わりにして、みかんとか生ものを私の部屋に置いていくほどです。

――妹から見た姉の性格は?

 カマちゃん(かまって欲しいの意)なんですよ。私の部屋に来るとずっといて、ずっとしゃべって、あげくにはここで寝ようかなとか言いだす。自分の部屋、12畳もあるのに。

☆よしむら・みゆき 2002年6月6日生まれ、静岡県出身。姉・早耶香(112期)の影響を受けガールズケイリンの選手となった。特技は仲のいい同期の枝光美奈(福岡)によると「悪意のあるモノマネ(笑い)」とのこと。