別府競輪場の令和6年能登半島地震復興支援競輪GⅢナイター「開設74周年記念 オランダ王国友好杯」が7月25~28日の日程で開催される。今回は地元GⅢ初制覇に挑む豊後の若きエース・阿部将大(28=大分)に、評論家の〝闘将〟こと佐々木昭彦氏が突撃。地元戦へかける意気込みや、これからの九州地区への思いなど、熱い胸の内に迫った。
佐々木昭彦氏(以下、闘将) おぉ、阿部~。よろしく~。ちなみに私のことは分かる?
阿部将大(以下、阿部) もちろん分かりますよ(笑い)。こちらこそ、よろしくお願いします。
闘将 地元記念が迫ってきたけど、ここまでは順調? 目標とかあるの?
阿部 まずは最低でも決勝に乗りたいですね。地元戦は特別なものがあるし、今の感じなら行けそうな手応えもあります。
闘将 ここまでGⅢを3回優勝しているけど、地元はまだなかったっけ。
阿部 はい。ないです。
闘将 地元GⅢってお祭りみたいなものだから、地元が勝つと盛り上がるし狙ってほしいな。別府は海が近いせいか強烈な風が特徴的だけど、ナイターだとどうなの?
阿部 昼間はかなりきついときもありますけど、夜は落ち着くし走りにくいとかはないです。
闘将 別府は走っていても風で止まるイメージがあるから意外だな。もちろん、仕掛けどころも分かっているよね。
阿部 そこは地元なので(笑い)。いいところから行きたいです。
闘将 さっき、最低でも決勝と言っていたけど、どんな形で勝ち上がっていければと思っている?
阿部 理想はラインを生かした走りで1人でも多く決勝へ連れて行けるように、ですね。
闘将 そうそう、決勝まではラインを連れていってやるってぐらいの気持ちで駆ければいいんだよ。
阿部 ただ、今は勝ちにいくレースを徹底して1着が増え出したし、そうするとラインに迷惑をかけることもあるから難しいところではあります。
――最近の九州地区は若い選手の台頭が目覚ましく、大きなレースでラインが機能しています。
闘将 久留米記念の決勝も(山崎)賢人、嘉永(泰斗)、(伊藤)颯馬と3人乗った。あれを見て阿部はどう思った?
阿部 2年前の久留米記念の決勝で九州4車の先頭を任せてもらったんですよ。颯馬、北津留(翼)さん、(伊藤)旭の前で。今年の決勝もああやってまとまれれば、S級S班や強い相手とも勝負になるんだなって。
闘将 九州勢も、やればできるんだよ(笑い)。この先、特別戦線で若手同士の連係はどんどん増えるし、もっと信頼関係を深めていかないと。
阿部 そうですね。自力だけじゃなく追い込み選手の人たちもいてラインが厚くなれば特別でももっと戦えると思います。
闘将 今、いくつなの?
阿部 28歳です。
闘将 ちょうどいいじゃないか。荒井(崇博)や(井上)昌己らも頑張っているけど、年齢的にこれ以上を望むのは酷だし、若手の中でも阿部が中心になって九州を回すんだ、ぐらいの雰囲気づくりをしてほしいな。
阿部 出稽古に行ったりもするし、みんなとは仲がいいんです。ただ、自分が中心ともなるとおこがましいです(笑い)。
闘将 性格的に、大分の選手特有の〝オレが、オレが〟みたいなのもないもんな(笑い)。
阿部 泰斗なり颯馬なり自分もですけど、誰かがS級S班を目指して達成できたら、ですね。特別の勝ち上がりも少しは楽になると思うし、よりラインの力を生かせる。
闘将 阿部には特別戦線で上位と当たった時、インパクトのあるレースをしてほしいんだ。そういうレースをしていくと息の長い選手になれる。
――闘将もそんな過渡期があったんですか
闘将 中野(浩一)さんや井上(茂徳)さんが付いたときは自力で頑張ったけど、同じことを続けていても自分が勝たないとダメだと思って、ある特別の勝ち上がりで滝沢(正光)さんの番手に行ったんです。そのあと全日本選抜を優勝したりと流れが良くなって周りも認めてくれるようになった。阿部も器用だし、その手の走りをドンドンしてアピールしないと。
阿部 自分も思います。特別戦線でタテ、ヨコ意識せずに〝コイツ厄介だな〟って思わせられれば、普段のFⅠや記念でもやりやすくなりますから。
闘将 期待しているぞ。まずは別府を優勝して地元に名前を残そう!
阿部 ありがとうございます。小岩(大介)さんら地元と九州みんなで頑張ります! 見た目が悪くてもいいから勝ちたいし、自分らしく泥臭く走ってきます。
☆あべ・まさひろ 1996年6月14日生まれ。大分県出身。174・1センチ、74・2キロ。117期として2020年5月に小倉でデビュー。2022年高知でGⅢ初制覇を達成。今年は4月高知、6月函館とGⅢを2回制している。