平塚競輪の大阪・関西万博協賛GⅠ「第67回オールスター競輪」(優勝賞金6100万円・副賞含む)は17日、5日目を開催した。準決9Rを逃げ切った新山響平(30=青森)は究極に近い仕上がり。決勝は北日本結束でライン4車。2度目のタイトル制覇へ追い風が吹いている。

 遠くを見つめることがある。「ファンの方の中には、何やってんだって思っている人もいると思うんですが…」。先行の道は極限のイバラ道。だが、自分の脚質を考えると「先行が一番、勝てる戦法」と信じ、輪界制覇を目指している。北井佑季を筆頭に、敗れるレースがあればファンからの批判が届くこともある。

 しかし、佐藤慎太郎の準決10Rを終えての言葉がすべてだろう。

「普段の響平の走りが生きたと思います」

 新山が常にひるむことなく主導権を奪いにいく姿勢が、他の選手の動きを厳格に制限した。神の領域だったと言っていい。結果論として「浅井(康太)さんが追い上げてきて、自分に展開が向いた」が成立するが、そこを導いたのが、これまでの新山の戦いによるものだった。

 ドリームレースの激闘も、ひたすらファンの心を騒がせた。このシリーズは「すべて先行しに行けているし、気持ちを強く臨めている」。決勝も新山らしく戦うのみ。北日本ライン4人の結束力とファンの大歓声が、〝競輪とは何か〟を知らしめる。