川崎競輪FⅠナイター「おつけもの慶21周年カップ」が29日、開幕する。ガールズでの注目は、今夏のパリ五輪代表で9日に競技からの引退を表明した太田りゆ(30=埼玉)だ。五輪直後の女子オールスター競輪には出走したものの、今月上旬の熊本を欠場して休養とリフレッシュを優先。今開催が本格復帰の出発点となる。

 中43日の間は各種イベントへの参加に加え、これまで控えていた友人との食事などを楽しみ、16日には自身のSNSで東京ディズニーシーを満喫する様子もアップしていた。その一方で「ここに向けた準備はしっかりやってきた」。拠点としている伊豆で鈴木奈央や野寺楓・梓姉妹ら静岡所属の選手に協力してもらい、競技とは異なる競輪の感覚を取り戻すために実戦形式の練習も重ねてきたという。

 ナショナルチームでは競技で最高の結果を出すため、練習や食事、遠征先への移動などあらゆる面でサポートを受けてきた。しかし、これからは違う。「飛行機のチケットとか前泊するためのホテルの手配とかも自分でやらないといけない」。他の選手が当たり前のようにしていることにも慣れる必要がある。

 このほどGⅠ競輪祭女子王座戦(小倉・11月19日~)の出場選手が発表され、太田の参戦が決まった。年末のガールズグランプリへの出場権を得るには絶好の機会で「競輪祭を取れたら一番いい」と色気がないわけではないが、まずは来年以降を見据えてガールズでの「いろいろ考えたり試しつつ、基盤だったり土台をつくる」ことを優先事項に挙げる。

 初日(29日)は7R予選1に6番車で臨む。「1本目がちょうど通算150走目。ここから第2章になる」。ナショナルチームで培った脚力と8年間の経験を武器に新たな伝説を紡いでいく。