武雄競輪のGⅢ「開設75周年記念 大楠賞争奪戦」が10日、開幕する。S班の一人・新山響平(31=青森)はブレることなく理想を追い求めている。
競輪という戦いにおける究極の選択がある。
「結果と内容、どっちが大事?」
新山という男はまっすぐひたむきだ。現在は内容を譲らない走りを続けている。それは先行を主体として、ラインでレースを支配していく戦い。「内容にこだわっていくことで、結果的に最後は2つともいいようになれば」と完成形を目指している。
ただし、苦しい思いもある。「お客さんあっての競輪なので」。S班として人気を背負う立場だけに、結果が伴わないでは…と唇をかむ。上位で競輪界を引っ張る地位にいることで「見て、楽しい。賭けてなくても、楽しい。その上で、賭けてもらって当たれば楽しい」という世界観への挑戦も胸にある。
目先の結果にとらわれず、競輪がどうあってほしいか、を背負っての日々だ。しかし迷いはない。前検日、晴れ渡る空の下、「ちょうどいい気温になってきましたね」と笑顔を振りまいた。自分が進む道を真っすぐ見据え、ブレずに歩んでいく。〝ノンストップ響平〟は武雄の長い直線に真っ向から挑み、ファンの心を16ビートで揺さぶる。