名古屋競輪GⅠ「第79回日本選手権競輪」が29日に開幕した。初日は出走機会のなかった佐藤慎太郎(48=福島)は2日目10Rからの始動。大ケガを必死のリハビリで克服し、大舞台に戻ってきた。
骨盤骨折は選手生命に影響する重傷だ。1月日、松阪記念決勝の落車でそのケガを負い「2か月車いす生活だったよ」と話す。これまでの選手人生でも数え切れないほどケガを負ってきたが、今回のは重かった。
「半年かかる、と言われたんだけどね。今でちょうど3か月か…」
医療の進歩と、もはや根性としかいいようのないリハビリで、想像以上の早さで復帰した。復帰に向けては「とにかくこの場に戻ってきたかった。脳をしっかりさせれば体はついてくるんだよ」と戦場に身を置くことが復調への一本道と考えた。
焦りはないが「あと10何年もあるわけじゃない。あと数年」と48歳の現実は見つめている。戦える時間は多くは残されていない。その覚悟――。
「ぶっ壊れてもいいから」
ファンの熱い声を聞けば、シンタロウの体は激しく反応する。戦える体に戻る時間を短くするだろう。まずは2日目10R特選で「真杉匠―平原康多の後ろへ。そこが自然でしょう」と位置を定めた。自然な立ち回りで、これからのための大事な一歩を進める。